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(4) 担当者中心の文書管理から組織的な管理体制の確立

地方公共団体における文書事務は、各部課や担当者の業務が、行政分野別、業務別に縦割になされ、かつそれぞれの分野が非常に専門特化していることが多いために、部門間や担当者間での横の連携が少なく、また、情報の相互流通にも様々な困難がもたらされることもあるといった状況にある。その結果、行政文書や資料が担当者中心に個人管理されることも珍しくなく、行政文書や資料の重複管理、不要文書の氾濫、文書の私物化といった問題が発生し、執務環境の悪化を招く一つの要因にもなっている。

こうした問題についても、合理的な解決が図られるべきであり、幾つかの地方公共団体では、既にそのための具体的な取組も始まっている。

 

(5) ファイリング・システムと文書の電子的な管理との併用

多くの地方公共団体では文書管理の改善方策として、紙文書の発生から廃棄に至るまでの文書のライフサイクルを、統一ルール(マニュアル)に基づいて管理するファイリング・システムの導入が行われてきている。しかし、これまでの紙の文書を前提とするファイリング・システムは、コンピュータによって文書に相当するデータを直接に管理するものではない。また、紙の文書を前提とするファイリング・システムでは、情報通信技術を活用して多目的に行政文書を活用することについてもおのずと限界がある。また紙媒体で文書を管理することによる文書の配布・伝達における時間とコストの問題、必要な文書に対する検索効率の低さなどの問題点も指摘されている。

一方、情報通信技術を活用し電子文書として情報を管理する文書管理システムは情報公開制度の運用を行う上では有効な方法であると考えられているが、情報公開制度の運用を唯一の目的として導入するには費用対効果の問題がある。また、紙媒体で収受する文書の取り扱いなど、行政内部で収受・作成される文書をすべて電子化するためには今後解決して行かなければならない問題もあり、行政文書のすべてを電子文書として統一的に管理することは困難であるという現実もある。

こうしたことから、電子的な文書管理システムは、主として行政事務の効率化を図る仕組みとして、処理対象文書を限定しながら紙文書との併存という形態で導入されてきた。

今後更に、紙文書と電子文書の総合的な管理のための仕組みを構築する努力が重ねられるべきである。

 

 

 

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