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ある地方公共団体の文書管理規程では、「行政文書」「電子文書」「電子情報」を次のように定義している。

 

(定義)

行政文書 … 知事部局の所掌する事務に関するすべての文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)をいう。

電子文書… 電磁的記録のうち、書式情報(文書の体裁に関する情報をいう。)を含めて保存されている電磁的記録をいう。

電子情報 … 電磁的記録のうち、コンピュータ処理可能な状態で磁気テープなどに記録されている電磁的記録(電子文書を除く。)をいう。

 

また、事務処理の原則として、次のように範囲限定ではあるが電子文書を事務処理の対象として規定している。

 

(事務処理の原則)

事務は、文書又は電子文書によって処理することを原則とする。この場合において電子文書によって処理できる範囲は、総務部法務文書課長が別に定める。

今後はこの文書管理規程で見られるように、書式情報を含めて保存されている電磁的記録(ワープロや表計算ソフトで作成された電子文書)を文書事務の対象に含めて管理する仕組みを構築し、事務処理についても電子文書を含めて定義することが重要である。

 

(3) 現用文書中心の管理から長期保存文書も含めた管理体制への移行

地方公共団体の中には、条例制定前の文書の公開について何らかの制限を設けているところもある。その理由は、情報公開の対象文書の範囲と文書管理の対象範囲は表裏一体の関係にあることから、膨大かつ多種多様な過去の行政文書すべてを整理するためには多大な労力とコストがかかり、過去の文書も含めて一律に公開対象とするのは、文書管理の観点からは困難を伴うというものである。

しかし、行政情報の中には過去からの積み重ねにより成り立っているものもあり、当然、住民には過去にさかのぼって経過を知りたいという要望も見られる。情報公開制度の本来の趣旨からすると、情報公開条例の施行前に作成又は収受された過去の文書についても当然公開対象とすべきであり、そのためには長期保存文書についても目録を作成するなど、過去の文書を検索できる手段の提供が望まれる。

 

 

 

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