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(1) 決裁文書中心の管理から組織共用文書の管理へ対象範囲の拡大

情報公開の対象となる行政文書の範囲は、情報公開条例を制定している地方公共団体の多くが決裁・供覧等一定の事案処理手続又はこれに準ずる手続を終了した文書に限定しているのに対して、情報公開法では「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」と定義しており、地方公共団体の情報公開条例と比較して広範な定義となっている。つまり、情報公開法では、決裁・供覧等一定の事案処理手続又はこれに準ずる手続を終了した文書に限らず、行政機関が組織として業務上の必要性に基づき保有しているものはすべて情報公開の対象としている。

一方、地方公共団体の中には、その情報公開制度において、情報公開を取り巻く社会情勢の変化や情報公開法の成立を契機として、住民に対する説明責任や住民の行政への参加の観点から、決裁・供覧等一定の事案処理手続又はこれに準ずる手続を終了した文書に限定するとの要件を廃止し、「行政機関の職員が組織的に用いるものとして行政機関が保有しているもの」(組織共用文書)として、公開すべき行政文書の範囲を拡大する傾向が見られる。

情報公開条例に定義された行政文書の範囲は、実施機関における文書管理の対象範囲と密接に関係する。このため、今後は、情報公開条例の見直しとともに、文書管理の対象範囲においても現行多く見られる決裁文書中心の管理から、組織共用文書の管理へと移行し、これに伴い、公開すべき行政文書の対象範囲の拡大を図る必要が生じている。

 

(2) 紙文書中心の管理から電子文書も含めた管理対象への移行

情報化の進展に伴い、地方公共団体における文書事務では、パソコンやワープロなどを利用することが日常的になってきている。それに伴い行政情報の管理を紙媒体(書類)での文書管理だけではなく、磁気テープや磁気ディスク、フロッピーディスクなどの電子媒体により管理することも増えてきている。ところが、地方公共団体の文書管理規程の中には紙媒体による文書の事務処理を前提とした管理を規定するだけのところもあり、そのようなところでは、「電子文書」や「電子情報」を含む行政情報の適正な管理を図ることが困難になってきている。

 

 

 

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