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更に、「情報の死蔵や偏在」といった弊害を避け、職員間での情報の共有化を図るために、行政文書を組織的・系統的に分類・整理し、行政文書の所在が常に明確でかつ必要な時にすぐに取り出せる環境を整備するための努力も積み重ねられており、これらによって、情報の活性化と行政事務の効率化を図ってきた。

 

(2) 情報公開に対応するための文書管理の役割

地方公共団体における情報公開制度は、住民の行政に対する理解と信頼を深め、公正で開かれた行政に寄与する一つの重要な手段である。一方、行政機関の立場から見た情報公開制度は、行政の諸活動を住民に説明する責務を全うするための重要な手段である。

情報公開制度は、住民が行政の保有している情報の開示を請求するための開示請求権制度を中核としており、住民からの開示請求に対し、適切に情報開示をしなければならない。そのためには、各原課で管理されている業務上利用する台帳類を含めた膨大な量の行政文書の中から該当する文書をいつでも迅速に取り出せるように、行政文書の適正な管理の仕組みづくりを実現する必要があり、個々の行政文書のライフサイクルを通じた適正な管理を徹底し、電子的な手段による文書管理の導入を含め、情報公開制度の目的に即した文書管理事務を実現できるように、従前の事務処理体制の見直しや方法・組織などの再構築のための検討を進めるべきである。

 

(3) 住民サービスの向上を図るための文書管理の役割

情報通信技術の進展を背景として、住民の地方行政に対するニーズは質的に高度化するとともに多様化してきており、これに対応した行政事務及び住民サービスの向上、行政情報の公開が求められている。更に、これまでの紙媒体によるサービス提供だけではなく、インターネットやケーブルテレビなどの双方向通信ネットワークの活用により、地方公共団体の職員間だけではなく、住民と地方公共団体(職員)との間でも情報の共有を実現することができるようになってきている。このような社会的環境の変化により、住民に対する行政サービスを効率的に、そして、より住民の真のニーズに適合した高品質なものとして提供・充実させていくことができるようになってきた。今後は、双方向ネットワークを活用することにより、地方公共団体と住民との間の関係を一層緊密なものとさせていくこと求められていると言うことができる。

 

 

 

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