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議会の審議内容などは、審議経過を住民に積極的に説明するためのものと言える。

最近ではインターネットを活用し、地方公共団体のホームページにこれらの情報を掲載するところが多くなりつつある。従来の広報紙などに比べ、情報をいち早く地域の住民や関心を持つ人々に伝える効果があることから、今後、更にインターネットなどの新たな情報通信手段を活用する地方公共団体が増加するものと推測される。

 

2 行政情報の提供を行う上での課題

 

最近、住民の高齢化と少子化の急速な進行による老後の不安、環境問題に関する意識の向上、景気の低迷による雇用不安などから、住民が安心して生活するための社会環境の整備・構築について行政がどのように取り組んでいるのかという問題を含め、地方公共団体に関係する様々な問題について、行政に対する住民意識がこれまで以上に高まってきている。更に、情報通信技術などの進展に伴い、住民が欲する情報を多様な手段で提供することが望まれつつある。

行政情報の提供を行うに当たっては、「住民に必要な情報が提供されているのか」「住民が行政活動の制度や内容、結果について判断できるような理解し易い情報が提供されているのか」といった視点が重要である。

行政情報の提供により、

・ 住民の生活の充実

・ 住民による行政の容易な利用

・ 行政活動の結果の当否についての判断

・ 行政活動への住民の関心や参加の促進

などが実現されるものでなければ、情報提供の意味も少ないと言えよう。他方では、行政情報の提供を行うことは、行政相談業務の緩和や苦情処理問題への解決策の提供にもつながり、結果的に、行政サービス全体の質の向上を期待することもできる。

そのため、行政情報の一方的な提供ではなく、また請求を待っての開示でもない情報公表の仕組みを考える必要がある。例えば、一定の基準と目的に基づいて、請求を待たずとも公表すべき情報を明確にし、これらについては住民が常に入手可能な状態とすることが考えられる。これを通じて、住民の行政への関心を高めるとともに、住民による行政活動をめぐる議論を充実したものにすることができる。

 

 

 

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