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第3節 地方公共団体における行政情報の提供

 

情報公開条例は、開示請求権制度を中核として、住民が地方公共団体の保有する情報の公開を求める権利を明らかにするとともに、情報公開の推進に関し必要な事項を制度化したものである。しかし、情報公開の基本理念である「知る権利」「知る自由」の重要性からすると、本来、行政文書の公開は、住民が情報の開示請求権を行使するまでもなく、住民などがいつでも地方公共団体の保有する行政文書を閲覧あるいは入手できる環境が整備されている必要があると言える。

ここでは、行政機関側からの行政情報の提供状況と行政情報を提供する上での課題を整理し検討する。

 

1 行政情報の提供の現状

 

各地方公共団体では、住民などに対して行政の情報を提供するために新聞や放送などのマスコミ、広報紙の発行、放送番組の提供、資料室の設置などを用いて積極的な情報提供を実施している。これらの方法による情報提供は情報公開制度とは異なり、行政機関が法的に義務づけられるものではなく、任意になされるものである。また、住民に情報を提供する形態も区々である。これに対し、情報開示は、行政機関が保有する情報を、住民の請求に応じて開示することを義務づける制度として位置づけることができる。

地方公共団体が積極的に情報提供を行っているものは、地方公共団体によって内容は異なるが、おおよそ以下のものが挙げられる。

・ 行政の施策などの政策発信

・ 制度の紹介や行政機関(原課)の業務内容の概要

・ 議会の審議内容や決議内容

・ 各種統計を始め社会や住民生活の変化に関する調査結果などの調査統計など

・ 住民による制度の利用を促進、周知するための情報

・ 住民の生命や健康、安全の確保のために発信される情報

・ 財政状況の情報

住民による制度の利用を促進、周知するための情報としては、例えば、福祉施設に関する紹介や利用方法の案内、保健所が行っている健康診断受診の案内などである。これらは、主に住民がサービスを公平に利用できるようにするための情報提供である。

 

 

 

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