(1) 地方公共団体の対応状況
情報公開法の成立は、これまで、各地方公共団体が独自に進めてきた情報公開への取組みに対して何らかの変化を与えるものである。
情報公開法第41条は「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し及びこれを実施するよう努めなければならない。」としており、国の情報公開法を直接適用することはしないものの、地方公共団体の自律性を尊重しながら、情報公開条例が未制定の地方公共団体においては、この法律の趣旨にのっとり条例の制定に努めるべきものとし、また既に制定済みの地方公共団体においても法律の趣旨にのっとり、条例等の見直しをしなければならないという努力義務を課している。
こうしたことから、既に条例を制定している地方公共団体においても、情報公開制度を取り巻く環境が大きく変化したこと、特に自治行政を実質化するため行政の透明性が一層求められ情報公開制度の欠陥の補正と更なる前進が必要になってきたことなどから、その見直しの検討が求められている。
(2) 情報公開条例の制定内容の傾向
情報公開条例の制定を検討している地方公共団体や、既に制定済みの条例について見直しを行っている地方公共団体では、国の情報公開法に定義されている内容を参考にしつつ、条例の内容について検討を進めている。地方公共団体によっては、行政への住民の積極的な参加を模索しているところもあり、その地域の特性によって情報公開に関する条例の内容が異なっている。
条例の見直しに当たっては、主に以下の点について検討が行われている。
・情報の開示・非開示条項の在り方
・意思形成過程にかかわる文書の取り扱いの明確化
・請求権者や対象情報の範囲の拡大
・請求手続方法の多様化等利用者の利便性の向上
・不服審査事務手続の明確化等救済制度の改善
・文書目録の電子化や文書の管理形態の見直し等情報公開に対応した文書管理の在り方
・出資団体まで広く対象とした情報公開の推進
・積極的な情報提供の在り方