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第2章 情報公開制度をめぐる国と地方公共団体の動向

 

第1節 情報公開をめぐる国の動向

 

本節では、行政文書の情報公開をめぐる国の施策の動向と、情報公開に対応するための考え方や検討課題について概観する。

 

1 情報公開への動向

 

平成11(1999)年5月7日に成立した「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(通称:情報公開法)は、公正で民主的な行政運営を実現し、行政に対する国民の信頼を確保するという観点から、行政機関が中心となって行政文書の公開を推進すべきであるとの認識のもとに制定された。

国は、昭和55(1980)年5月に閣議了解された「情報提供に関する改善措置等について」以降、情報公開に対する本格的な取組みを開始し、平成3(1991)年12月に閣議決定されたいわゆる「平成4年度行革大綱」などに基づき各種の情報公開施策を推進してきた。具体的な施策としては、文書閲覧窓口制度の整備や文書閲覧目録の整備、行政情報公開基準の策定、個人情報保護法、行政手続法などが挙げられる。文書閲覧窓口制度に関しては、閣議了解である「情報提供に関する改善措置等について」において、「公文書等の開示についての事務処理上の手続規定の整備」「統一的な窓口設置」などの事項が定められている。

また、平成3(1991)年12月に開催された「情報公開問題に関する連絡会議」において公表された行政情報公開基準では、行政の信頼性確保、行政情報の有効利用の観点から、行政機関が管理する文書を広く開示する立場に立って運用するための公開対象文書の規定や、各行政機関が公開、非公開の判断を行う際の統一基準を定めている。

しかし、これらの制度や基準などは、あくまで情報公開にかかわる諸施策の流れの中で生まれたいわば断片的な取り決めやガイドラインとしての性格が強く、それら自体には法的拘束力がないこと、また対象文書の公開範囲が十分であるとは言えないこと、救済制度が整備されていないことなどが従来から指摘されてきた。

これらの諸課題に対応すべく、国は、平成6(1994)年2月に閣議決定した「今後における行政改革の推進方策について」において、行政情報の公開を本格的に検討するために「行政改革委員会」を設置し、この場で調査審議を行う方針を決定した。

以降、行政改革委員会の行政情報公開部会において情報公開法に関する調査審議が進められた。同部会は、平成8(1996)年4月に「行政情報公開部会報告(情報公開要綱案・情報公開要綱案の考え方)」を行政改革委員会に提出、行政改革委員会は、同年12月に政府に「情報公開法制の確立に関する意見」を具申した。

これら答申等を受けて立法作業が進められ、情報公開法の成立に至った。

 

 

 

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