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4 情報公開制度における電子行政文書管理システムの課題

 

名和教授が「日本政府の政策は配付サービスの汎用化のレベルにとどまっており」(注7)と述べるように、これまで情報公開制度における文書管理は、目録管理により当該文書を配布するものである。名和教授が米国のアクセス型サービスを「行政情報の公開はシステムの外にいる国民が行政機関の保有する情報へ自由にアクセスすることを許す制度である。」と示すが、上記のシステムでSGML/XML化文書管理データベースが構築できれば、タグにより個人情報等をマスキングでき、一部開示・非開示等も事由等を付けて提示できることから、将来的にはアクセス型サービスに応用でき、住民としてはそれを望むものである。

また、情報技術は日々進化しており、セキュリティに対する取組が重要である。地方公共団体でもセキュリティ・ポリシー(セキュリティ・ガイドライン)の構築を望むものである。セキュリティ・ポリシーは、運用システムが保護すべき対象資源の特定、保護対象資源に対する利用方針の決定、セキュリティ脅威の識別、セキュリティ対策方針の策定、機能/保証要件の選択の5段階についての方針をドキュメント化し、それに基づきセキュリティ・ガイドラインを作りマニュアル化することになる。また、平成11(1999)年6月にISO 15408が制定され、これらの対応も望まれる。

 

(注1) 五藤寿樹「情報管理」『現代の経営管理』,創成社,1996.

(注2) Hammer,M.& Champy,J., "Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution" Harper Business, 1993.(野中郁次郎監訳,『リエンジニアリング革命』,日本経済新聞社,1993.)

(注3) Max Weber, "Wirtshaft und Gesellschaft" 1956,(世良晃志郎訳,『経済と社会-支配の社会学1』,創文社,1960.)

(注4) Leffigwell,W.H.& Robinson, "Textbook of Office Management" McGraw-Hill, 1950.

(注5) 地方自治情報センター,『地方公共団体における文書管理システムの調査研究』,1998.

(注6) Simon St.Laurent, "XML: A Primer Simon St.Laurent", IDG, 1998.(藤川叔子訳,『よくわかるXMLの基礎』,日経 BP,1999.)

(注7) 名和小太郎,「行政情報化の電子化」『講座・情報公開-構造と動態-』,ぎょうせい,1998.

 

 

 

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