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また、保管管理方式として分散ファイル集中管理方式を一般的に採用されている。これは、文書の利用度が多い期間(最大2年)は分散的に各執務場所でファイルし、利用頻度が低下した文書は書庫で集中管理するものである。つまり、ファイル・キャビネットの上の段に当年度分の文書を下の段に前年度分の文書を保管し、年度末に文書を整理し当年度分を下段に移し換え、前年度分は文書保管箱にいれ書庫に置き換えて保存するものである。もちろん、地方公共団体においてもこのファイリング・システムを実施している団体も多い。

このような紙による文書管理は現実的には多く行われているが、ここでは電子文書ファイリング・システムを中心に議論していくものとする。それは、インターネット以後(AI)ネットワークを利用しての文書交換が、その利便性から急増すること、また情報の検索がコンピュータ・システムを利用することから格段に容易になることなどがある。そして、先に述べた国の行政情報化施策においても、また先進的地方公共団体においても電子文書管理システムを目指しており、メディアの趨勢として文書情報は電子的な処理に移行するのは必然である。なお、電子文書管理システムとは、文書情報を電子的に記述し、情報技術を利用して管理・運営する一般名称であり、行政においては取り扱う文書が行政文書であることから電子行政文書管理システムと呼ぶことにする。

文書管理とは、一般的に文書の作成・流通・整理保管を管理するものである。これから、現状の行政文書管理を図示すると図-1のように表すことができる。この文書ライフサイクルを電子文書管理システムに展開することは可能であり、地方自治情報センターの「地方公共団体における文書管理システムの調査研究」(注5)では、図-2に示すように、文書データベースを設置し、文書の閲覧や編集は文書データベースに登録されている文書をもとに行い、クライアント側で作成した文書を、文書データベースに登録して回議・合議、供覧、検索を行うことになり、その機能として、文書管理機能、文書作成支援機能、検索機能、ワークフロー制御機能、情報公開支援機能、システム管理機能、文書管理システムを補完するその他の機能をあげている。もちろん、このすべての機能が重要であるが、ここでは、代表的な機能について議論することにする。

 

 

 

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