前者では、電子メッセージの形によるとは言え、債務者つまり運送人宛の通知という、債権譲渡が債務者に対して効力を生ずるために各国法の多くで一般に要求される要件を、それ自体でも満たしています。これに対し後者では、この要件は、Rulebookと言う包括的合意の中で放棄されていることになります39。
なお、現在通産省の予算事業として進行中の国産の電子式船荷証券プロジェクト(正確には貿易関係書類全体の電子化プロジェクト)であるいわゆるTEDIプロジェクト(「貿易金融EDI共通基盤システム」開発プロジェクト及び「TEDI共通規約」作成プロジェクト)の場合、その法的な枠組を規定するTEDI共通規約も作成途上ですので、まだ何とも言えませんが、Bolero B/LにおけるTitle Registryに類似したものとして、TEDI Repository Servicesなるものが構想されているようです。
39 但し、貨物の占有名義の移転との関係では、上記Core Messaging Platformを運営するBolero International Ltd.は、包括的に運送人の代理人として指定されたという体裁(3.4.2.(a))をとっています。