3.なお、以上とは次元を異にし法的な意味での条件ではありませんが、おそらく実際上極めて重要かつ不可欠な、しかも場合によっては困難な条件として、当該電子式船荷証券のシステムにおける標準のデータ・フォーマット及びコードに、自社の船荷証券の(=従来の自社の船荷証券発行システムの)データ・フォーマット及びコードを適合させるということが挙げられるでしょう。
というのは、電子式船荷証券がその企図するような省力化・効率化を発揮するためには、当該電子式船荷証券のシステムとしてのデータ・フォーマット及びコードを標準化することがやはり必要であると思われますが、ある船会社が、現在紙で発行している船荷証券を当該電子式船荷証券のシステムを利用して電子化しようとするならば、紙の船荷証券におけるデータ・フォーマット及びコードにかわり、当該電子式船荷証券のシステムとしての標準のデータ・フォーマット及びコードに依拠することとせざるを得ないからです。換言すれば、現在でも、各船会社は、最終的には紙で発行される船荷証券の作成のためのシステムを構築しているはずですが、これを電子式船荷証券化するには、当該システムにおけるデータ・フォーマット及びコードから、当該電子式船荷証券のシステムとしての標準のデータ・フォーマット及びコードに乗り換える必要があります。
なお、電子式船荷証券におけるデータ・フォーマット及びコードの標準化は、紙の船荷証券で言えば、表面のレイアウト及びそこに記載すべき事項を統一するようなものであり、形式的には、紙の船荷証券の機能をそのまま電子化するということを越えた現象です。このためか、昨年実用化された(稼動開始した)Bolero B/Lの場合も、当初は、標準化は意図されていなかったようです。しかし、これについては多方面から批判があり、現在、標準化へ向けて作業中と言われています。