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冒頭に述べた電子式船荷証券が発行される前提からすれば、論理的には、例えば、その契約中に、電子式船荷証券の記載にはこれこれの効力を有するという規定をおいて解決を図ることもあり得ます。しかし、このような具体的規定をおけば、それは電子式船荷証券の本来的目的(紙の船荷証券の代替)を超えるものであるという批判があり得るでしょう。

もし、極端な例として、運送人は、善意の電子式船荷証券の所持人に対しても、その記載が事実と異なることを主張できるという規定をおいたとしたら、それは従前の考え方からの完全な逸脱であって、全く受け入れられ得ないでしょう。

従って、論理的に言えば、取り交わされる包括的な契約の中で、電子式船荷証券のClean B/Lは、紙のそれと同様の効力を有する旨規定することが、もっともあっさりした抵抗のない方法です。

もし、そのような規定がなかった場合は、前記の条約や国内法の電子式船荷証券への適用が問題となります(この一般論についてはQ4-10-1参照)が、上記の効力は、正に船荷証券というものに認められる特別な効力ですから、電子式船荷証券にそのまま適用を認めることはできないように思われます。

5.なお、昨年実用化された(稼動開始した)Bolero B/LのRulebookでは、電子式船荷証券のClean B/Lは、紙のそれと同様の効力を有する旨規定されています(3.1.(3))。

他方、現在通産省の予算事業として進行中の国産の電子式船荷証券プロジェクト(正確には貿易関係書類全体の電子化プロジェクト)であるいわゆるTEDIプロジェクト(「貿易金融EDI共通基盤システム」開発プロジェクト及び「TEDI共通規約」作成プロジェクト)の場合、その法的な枠組を規定するTEDI共通規約も作成途上ですので、まだ何とも言えません。

 

 

 

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