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4-10.律する条約・法令等の有無

 

Q4-10-1:電子式船荷証券に関する条約・法令等はありますか。もしないとしたら、電子式船荷証券の関係者間の法律関係は、何によって規定されることになるのですか。

1.電子式船荷証券に関する条約・法令と一口に言っても、それは、理論的には、二種に分けて考える必要があります。

2.第一は、電子式船荷証券の「船荷証券」的性質、すなわち、その発行・流通・回収をめぐる法律関係を規律する条約・法令です。

これについては、そもそも、紙の船荷証券においてすら、統一的な条約はありません4。それは、理論的には各国の国内法及び世界的な貿易慣習によっています。わかりやすく言えば、船荷証券が裏書譲渡のみで有効に譲渡され、発行者たる運送人が裏書の連続した船荷証券所持人に貨物引渡義務を負うということも、決して国際条約で決まっていることではないのです。従って、電子式船荷証券についても、統一的条約は今のところはなおさらありません。

他方、各国の法令では、紙の船荷証券については、おそらく殆ど全ての国で、細かな内容の差こそあれ、その発行・流通・回収をめぐる法律関係を規律するものがあると思われます。そうでなければ、船荷証券が世界にまたがって流通する基礎を欠くからです。例えば、わが国では、それは商法(国際海上物品運送法第10条及び商法第776条でそれぞれ準用される商法第574条、第584条等)で決まっていることであり、英国では、それは18世紀後半の著名判例であるLickbarrow v. Mason事件以降の判例法5において商慣習を追認する(その有効なことを当然の前提とする)形で認められてきたことであり、米国ではFederal Bill of Lading Act 1916(但し1994年以降はThe Law Revision Title 49 Act, 1993により改訂された49 United States Code 801)によって規定されてきたことです。しかし、電子船荷証券については、今のところ、その発行・流通・回収の方式を具体的に規定したものは、やはり未だないと考えられます。

 

4 手形や小切手について統一手形条約・小切手条約があり、わが手形法・小切手法も、その国内法化として制定されているのと対照的です。

5 正確にはさらに同事件に先立つ判例もあり、これは既にその時点での集大成のようですが

 

 

 

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