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第二に、さらに進んで、当該電子式船荷証券システム参加者間の包括的契約自体において、(当該システムの下で発行される電子式船荷証券に基づく)運送契約については、書面の船荷証券が発行されていれば強行的に適用されたであろう国際条約または国内法に従う旨規定してしまうことも考えられます。これらの方法により、3.で述べた、当該電子式船荷証券の「荷送人」は、紙の船荷証券における荷送人の義務と同様の義務を同様の時期まで負担する旨規定するのと同じことになります。

6.因みに、1]かつて1990年に、万国海法会(CMI)が抽象的な電子式船荷証券の発行・流通・回収のメカニズム(換言すれば電子式船荷証券における関係者の権利義務関係の抽象的モデル)として制定したCMI Rules for Electronic Bills of Lading (Art. 6)、荷送人の義務についての定めは一切なく、2]昨年実用化された(稼動開始した)Bolero B/LのRulebookでも、荷送人の義務はBolero B/Lの裏書譲渡の後も消滅しないという旨の規定(二番目の質問に対応)のみがあり(3.5.1.(3)(a))、義務の内容自体についての規定(一番目の質問に対応)はありません。しかし実は、前者 (Art. 6)、及び、後者(3.2.(4))とも、5.で述べた第二の趣旨の規定を有しています。なお、3]現在通産省の予算事業として進行中の国産の電子式船荷証券プロジェクト(正確には貿易関係書類全体の電子化プロジェクト)であるいわゆるTEDIプロジェクト16の場合、その法的な枠組を規定するTEDI共通規約も作成途上ですので、まだ何とも言えません。

 

16 「貿易金融EDI共通基盤システム」開発プロジェクト及び「TEDI共通規約」作成プロジェクト

 

 

 

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