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4-11.運送約款

 

Q4-11-2:電子式船荷証券の「荷送人」も、従来の船荷証券における荷送人の義務(運賃支払義務、通告した貨物明細の正確性担保義務、貨物が危険物である場合の義務等)を負担するのでしょうか。それはいつまで負担するのでしょうか。

あるいは、従来の船荷証券におけるその場合の効果に関する条約・法令の規定は適用されますか。

1.一番目及び二番目の質問に対する正確な答は、それは、電子式船荷証券だからといって一義的に決まるものではなく、むしろ逆に、当該電子式船荷証券のシステムが、当該電子式船荷証券の「荷送人」に、どのような義務をいつまで負担させるように設計・構成されているかによる、ということです。

2.紙の船荷証券の場合の荷送人の義務の内容については、国際契約である、いわゆるHague Rules (Art. III, para.5;Art. IV, para. 3; Art. IV, para. 6)、Hague Visby Rules (ditto)、Hamburg Rules (Art. 12; Art. 13)にそれぞれ規定があります。また、日本では、Hague Visby Rulesの国内法化立法である国際海上物品運送法(第8条第3項、第11条第2項)にやはり規定があります。

荷送人が、それをいつまで負担するかということについては、それら条約や法律上明記されている訳ではありませんが、荷送人は本来的な運送契約の当事者であり、かつ裏書譲渡後も荷送人であるという事実にかわりはないので、荷送人としての責任は最後まで負うと理解されています。

3.電子式船荷証券が発行される実際的前提は、(Q4-10-1)で説明したように、電子式船荷証券の発行・流通・回収のシステムについて、船会社・荷主・金融機関等の参加者、そして電子式船荷証券のシステムの設営・運営者との間で、包括的な契約をあらかじめ取り交わすということ(その合意に則って電子式船荷証券が発行されるということ)です。従って、論理的には、例えば、その契約中に、電子式船荷証券の「荷送人」はこれこれの義務をいつからいつまで謳うという規定をおいて解決を図ることもあり得ます。しかし、このような具体的規定をおけば、それは電子式船荷証券の本来的目的(紙の船荷証券の代替)を超えるものであるという批判があり得るでしょう。もし、極端な例として、電子式船荷証券の「荷送人」は、その「裏書譲渡」後は、運送契約上の一切の責任から免れるという規定をおいたとしたら、それは2.で説明した従前の考え方からの完全な逸脱であって、全く受け入れられ得ないでしょう。

 

 

 

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