日本財団 図書館


4-11.運送約款

 

Q4-11-1:電子式船荷証券において、従来の船荷証券の裏面に記載されているいわゆる運送約款はどのような形で開示されるのですか。また、その拘束力について差異があり得ますか。

1.従来の船荷証券では、通常、その裏面に詳細な運送約款すなわち運送条件の詳細が記載されています。船荷証券の所持人は、その内容に署名をすることはありませんが、一般的には、船荷証券の所持人としての権利を行使する際には、裏面の運送約款の内容にも拘束される(あくまで当該約款で規定された範囲内における権利を取得し行使しているのである)と理解されています。その運送約款にあまりにも運送人に有利過ぎる不当な条項が入りかつそれが拘束力を持つことを防ぐために、Hague Rules、Hague Visby Rules、Hamburg Rulesという一連の国際条約ならびにそれらに基づく各国の国内立法が存在しているわけです。

2.電子式船荷証券の場合も、理論的には、まず同様の形が考えられます。運送人から荷送人への最初の「発行」時、あるいは、その後の荷主・金融機関等の間における「裏書譲渡」時に、いわゆる船荷証券表面の記載事項に相当するデータのほかに、裏面約款のデータも全て電子的に送られるようにするのです。ただ、おそらく、これは、あまりにも無駄であり(データ交換の時間をも要してしまうことになるので)非現実的でしょう。

3.現実的であると思われるのは、裏面約款の内容は、電子式船荷証券のシステムの中、又は外(たとえば各船会社のホームページ)で、船荷証券の発行・流通・回収のシステムそれ自体とは別個に、所持人が自由に閲覧できるような状態にしておくという方法です。そしてさらに、それには論理的には次の二種のパターンがあり得ます。

第一は、電子式船荷証券のシステム中で実際に電子式船荷証券が発行・流通される局面において、裏面約款の内容は電子式船荷証券のシステムの中又は外(たとえば各船会社のホームページ)で所持人が自由に閲覧できる旨のメッセージを表面記載事項と併せて送受信するという方法です。これは実は、紙の船荷証券でも存在しているケースです。いわゆるショート・フォームの船荷証券と称して、裏面に運送約款の全部が記載されず、発行者である運送人の標準的船荷証券の約款に準拠する旨のみが記載されている場合がそれです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION