「電子署名・認証法案」(仮称)制定における主要論点として以下があげられます。
1]電子署名と電子署名が付された電子文書の結合性
電子署名については、電子的であるということの特性から、署名が付された電子文書との結合性が問題となる。すなわち、手書き署名や押印については、一旦手書き署名や押印が付された文書を改竄することは相当困難であるという前提があるが、電子署名においてもこの前提が成立するのかという問題である。この点については、デジタル署名のように、その技術的な特性から電子文書との強い結びつきがあり、文書が改竄されていないことが検証できるようなものについては、むしろ手書き署名や押印以上に強い電子文書との結合性があるものと考えられる。なお、今後、技術進歩によってさらに新たな署名方式が登場してくる可能性も高く、署名方式・署名技術等へ技術的中立性を確保する。
2]「認証機関」への任意の資格制度
現行の法体系の下、手書き署名や押印に訴訟法律又は裁判において事実上与えられている推定効、すなわち(1)文書の成立の真正性に関する推定効、(2)署名者の同一性に関する推定効、及び(3)文書の非改竄性に関する推定効を、電子署名についても利用者に提供していく。このために「電子署名」をした際、その有効性を証明する民間認証機関に任意の資格制度を導入する。
3]資格を得た認証機関の発行する「電子証明書」が外国でも法的に認められるよう、相互承認制度の実現に取り組む。
注意すべきこと:
電子商取引を行う当事者間で、電子商取引協定書をまず締結しておき、交換データメッセージ等に関する有効性等を明確にしておくことです。お分かりのとおり電子商取引ではデータメッセージの非改竄性・真正性、偽造防止など高度なセキュリティが要求され、そのために暗号通信と電子認証の仕組み及び電子認証の国際的な相互承認の進展が望まれているところとです。
(出典・参考資料)
〇「21世紀デジタル社会の暗号政策への提言〜暗号通信の在り方に関する研究会報告書〜」(郵政省 1999年6月)http://165.76.2.18/policyreports/japanese/group/internet/ninshou/ninshou-0.html
〇「共通課題研究会中間報告―電子文書の原本性確保方策を中心として―総務庁 平成11年4月) 資料17 電子データ及びマイクロフイルムの証拠能力及び証明力について(抜粋)