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電子船荷証券自体は紙の船荷証券ではありませんのでこれらの効力が自動的に認められるわけではありません。債権譲渡の場合には債務者(船会社)に対する通知又は債務者の承諾が必要です。(民467条)又占有権の移転については、間接占有の移転という考え方をとれば、船会社に対する指示及び譲受人の承諾(民184条)が必要となります。

さて電子船荷証券の権利移転についてBoleroを例に取れば、BoleroではBolero B/Lの所持人はBoleroのシステムに対し権利移転を指示するメッセージを送り、システムは内容に問題が無ければdataを書き換えた上で新しい所持人に対して電子メッセージで権利移転を通知する事になっています。(Rule Book Operating Procedure 6.4.3.1)

又Boleroでは引渡し請求権の移転については債権譲渡ではなく、Bolero B/Lの移転に従って旧債務が消滅し、新しい債務が生じる「更改」(日本法では民513条)という法律構成を採用していますが、Rule Bookの中では上記にしたがって権利移転が行われると引渡し請求権が更改によって、新しい所持人に移転するというように定められています。(Rule Book 3.5.1)又間接占有についてはBolero B/Lの移転にしたがって移転すると定められています。(同3.4.1)又 占有の移転については、Boleroのシステムが船会社の代理人として移転に対する承認を与えるということをBoleroのRule Bookで取り決めています。(同3.4.2(a))

一方 、万国海法会による1990年の「電子式船荷証券のためのCMI RULE」では、権利移転に関する通知を譲渡人が運送人(船会社)に対して送り、船会社が、内容確認の上譲渡人の通知に記載されていた第三者に対して、個人キーを除く運送品に関するメッセージを送り、譲受人がこれを了承すれば古い個人キーを廃棄し、新しい個人キーを発行することになっており、通知は船会社に対して行われるようになっています。(第7条b)

但しCMI RULEでは占有権の移転については言及していません。

 

 

 

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