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4-7.債権の二重譲渡問題等

 

Q4-7-3:船荷証券を裏書きした場合には物権も移転すると聞きましたが、電子船荷証券の場合も同様ですか

物権(所有権等)の移転自体は当事者の意志のみにしたがって移転することになっています。(民176条)ただし、裏書の連続した船荷証券の所持人に対し船荷証券が引渡された場合には、船荷証券の引渡しは運送品の上に行使する権利(所有権、質権等)の取得につき運送品自体の占有移転があったのと同一の効力を発生させる(国際海上物品運送法10条、商575条─船荷証券の物権的効力)ことになっています。又、民法では動産の物権を移転する場合は引渡しが第三者に対する対抗要件となっています。(民178条)従って運送品の売買契約の履行として船荷証券の引渡しが行われると譲受人は運送品の所有権の移転を第三者に対抗できることになります。

一方、電子船荷証券と呼ばれているものはその一般的な呼称はともかく、法的には船荷証券ではありません。電子船荷証券の考え方は契約によって使用者間に船荷証券の使用と同一の効果をもたらそうとするものです。それでは電子船荷証券を移転する場合でも占有移転の効力を持つのでしょうか。

上述のように電子船荷証券は船荷証券ではありませんから、電子船荷証券の移転自体には紙の船荷証券と違って商法575条の適用はないと考えられます。

しかし、荷送人は船会社を通じて間接占有を有しているという考え方に従い、引渡し請求権の移転に伴い、指図による占有移転(民184条)が行われるという考え方をとれば、電子船荷証券の場合にも物権的効力と同一の効果を認めることができると考えられます。この場合には民法で定める譲渡人が船会社に今後は譲受人のために占有することを命じて譲受人がそれを承諾するという行為が必要になりますので、約款の中でその方法等について定めておく必要があるでしょう。

 

4-7.債権の二重譲渡問題等

 

Q4-7-4:電子船荷証券の移転には船会社への通知が必要だと聞きましたが、どのように行われるのですか

船荷証券に移転には貨物の引渡し請求権の移転という債権的権利の移転と、占有権の移転という物権的権利の移転という二つの効力が法律上認められます。

 

 

 

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