日本財団 図書館


4-6.権利・義務関係

 

Q4-6-6:電子B/Lの場合、船荷証券と同様の法律的効果を得る為に、当事者間で、特別の取極めを結び、その取極めのMEMBER間で、電子B/Lを移転していく方法(いわゆる“CONTRACTUAL SCHEME”)を取るとのことですが、もし或る当事者が、その取極めに反し、取極め当事者以外の者に「貨物引渡請求権」を譲渡してしまった場合、運送人はどのような立場におかれるのでしょうか?

その様な場合、譲渡人(前の権利者)と運送人(債務者)は共に、上述の取極めの当事者ですから、その両者は、その取極めに拘束されます。

しかし、この拘束はあくまで債権的なものであり、当事者以外の者を拘束することは出来ませんから、譲渡人が、善意の「取極め部外者」に債権を譲渡した場合、その部外者に対しては、原則として当該取極めを援用出来ないでしょう。

(参考:民法466条[債権の譲渡性]

1]債権は之を譲渡することを得。但し、その性質が之を許さざるときは、この限りに在らず。

前項の規定は当事者が反対の意思を表示したる場合には之を適用せず。

但し、その意思表示は之を以って善意の第三者に対抗することを得ず。)

従って、運送人としては、(当該「違約譲渡」を行った譲渡人に対して、債務不履行責任を問えるとしても、)譲受人に対しては、取極めに依らない民法・商法などに沿った対応が必要となる場合が有るでしょう。

船荷証券が発行されない場合、貨物引渡請求権は、所謂「指名債権」に相当するでしょうから、その譲渡は、民法の指名債権の譲渡の規定に従うことになり、それらに沿った対応が必要となるでしょう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION