4-6.権利・義務関係
Q4-6-4:電子B/Lの場合、運送人は、一本のCY渡しコンテナの中の貨物を、複数の者に荷渡する様な義務を負うことになる可能性は有りますか?
その可能性は有ります。日本法の下では、船荷証券の場合、商法519条により、手形法12条が準用されます。その為、船荷証券の一部の裏書は無効とされており、発行された船荷証券上の一部の貨物に就いてのみの裏書・譲渡は出来ません。
手形法12条(裏書の要件)
「2]一部の裏書は之を無効とす。」
電子B/Lには、この様な条文は適用されないと思われますから、一つの電子B/Lを一部づつ複数の者に譲渡することは理論的には可能でしょう。従って何らかの債権的拘束を加えておく必要が有るでしょう。
4-6.権利・義務関係
Q4-6-5:従来の船荷証券の場合、商売上の理由等で、船荷証券の流通過程に裏書人・被裏書人として名前が出ない様にしていましたが、電子B/Lの場合、この様なことは、可能ですか?
「取極め」上で、何らかの工夫が必要でしょうが、具体的方法は、いろいろ検討を要するでしょう。電子B/L上の権利の移転が、債権譲渡という形を取る限り、かなり困難を伴うのではないでしょうか?
船荷証券の場合、商法519条により、手形法14条が準用されます。結果として、裏書の連続の中に自己の名前を記すことなく、船荷証券を譲渡出来ます。
手形法14条(裏書の権利移転的効力)
「2]裏書が白地式なるときは所持人は、…白地を補充せず且つ裏書をなさずして手形を第三者に譲渡することを得。」