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4-1.譲渡方式

 

Q4-1-3:ところで、電子B/Lの場合、船荷証券の様な「物権的効力」が無いとすると、所有権の移転、質権の設定等の対抗要件は持てないのですか?

少し工夫を要することになります。

電子B/Lによる権利の移転には、上記の様な「物権的効力」は認められないでしょうから、貨物の所有権の譲受人・質権者が、対抗要件等を備えぬ不安定な立場に措かれない様に他の方法を講ずる必要が有ります。

例えば、民法184条[指図による占有移転]の制度が使えると思います。

民法184条[指図による占有移転]

「代理人に依りて占有を為す場合に於いて、本人がその代理人に対し、爾後第三者の為にその物を占有すべき旨を命じ、第三者が之を承諾したるときは、その第三者は占有権を取得す。」

即ち、運送人が電子B/L権利者の代理人として運送品を本人の為に占有しており、電子B/Lが譲渡された場合は、「指図による占有移転」によって、以後、運送人は電子B/Lの新たな権利者の代理人として、その者の為に占有するという考え方です。

この場合、上記条文から明らかな様に、船荷証券の場合には無かった、新たな二つの行為が必要となります。即ち、

・元の電子B/L権利者から、運送人に対して:「爾後、電子B/Lの譲受人の為に占有すべし」との指示。

・電子B/Lの譲受人からの承諾

但し、船荷証券の引渡しの場合と異なり、次の様な場合等の影響に就いて、差異が生じる可能性が有ります。

‐運送人が占有を一時的に失った場合:この場合、本人の代理占有権が消滅する為、その後の「指図による占有移転」は効果を持たないことになると思われます。

民法204条(第1項三号)[代理占有権の消滅事由]

1]項:代理人に依りて専有を為す場合に於いては、占有権は左の事由によりて消滅す。

三(号):代理人が占有物の所持を失いたること

 

 

 

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