4-1.譲渡方式
Q4-1-1:ところで、電子B/Lは、船荷証券の様に、裏書して交付するという形での譲渡方法を取れませんが、どの様な形で、譲渡されるのですか?
わが国の法制度を例に取って述べます。
「貨物引渡請求権」が流通有価証券化されていないこととなりますので、船荷証券の様に商法519条の「有価証券の善意取得及び譲渡方法」が準用されず、民法の「債権の譲渡」の規定の中の「指名債権の譲渡」の規定に従うことになるでしょう。
従って、貨物引渡請求権譲渡に「債務者への通知」又は「債務者の承諾」を要すると共に、対抗要件としての確定日付ある証書の問題(民法467条)や、債務者による人的抗弁(注:旧債権者との間で生じた事項、例えば、旧債権者に対する債権による相殺等を、新債権者に対して主張すること)が可能になる問題(民法468条)も出て来ます。
民法467条[指名債権譲渡の対抗要件]
1]指名債権の譲渡は譲渡人が之を債務者に通知し、
又は、
債務者が之を承諾するに非ざれば、之を以って債務者その他の第三者に対抗することを得ず。
2]「前項の通知又は承諾は、確定日付ある証書を以ってするに非ざれば、之を以って債務者以外の第三者に対抗することを得ず。」
民法468条[指名債権譲渡の承諾又は通知の効果]
「1]債務者が異議を留めずして、前条の承諾を為したるときは、譲渡人に対抗することを得べかりし事由有るも之を以って譲受人に対抗することを得ず。…」
「2]譲渡人が譲渡の通知を為したるに止まるときは、債務者はその通知を受くるまでに譲渡人に対して生じたる事由を以って譲受人に対抗することを得。」