船荷証券には、商法575条[物権的効力]が準用されます。
商法575条:「貨物引換証により運送品を受取ることを得べき者に貨物引渡証を引渡したるときはその引渡しは、運送品の上に行使する権利の取得につき運送品の引渡しと同一の効力を有す。」
この規定の目的は、運送中に運送品の所有権を譲渡したり、運送品に質権を設定しようとする場合、上記した様に、その様な行為の相手側は、実際の運送品により、譲渡の対抗要件たる運送品の「引渡し」(民法178条)や、質権の設定が効力を持つ為の「引渡」(民法344条)、動産質の対抗要件(民法352条)である「継続占有」を受けるのは難しい為、その代わりとして、「船荷証券により運送品を受取ることを得べき者」(即ち、証券券面上の権利者)が、船荷証券の引渡しを受けたこと=(運送品の上に行使する権利に付き)運送品の引渡しと見做し、船荷証券を運送品の占有移転する手段としたものです。
これを、船荷証券の「物権的効力」と言います。何故、運送品の所有権譲渡や質権設定に船荷証券の引渡しが重要なのか理由は明白でしょう。