3-1. 電子商取引と船荷証券に関する問題
Q3-1-1:「電子商取引に共通な問題」とはなんですか?
電子商取引に共通する課題として、次の様なものが有ります。
取引相手の確認
今までの相対取引と異なり、“なりすまし”が容易である為、本当に電子メッセージの発信者が、取引の相手であり、当該取引を行う権限を持つものかどうか確認する必要が高まります。その為、それらの点の確認を行ってくれる何らかの「認証機関」を作ることが必要な場合があり、各国で各種の検討が行われています。
メッセージの発信受信の確認及び内容改竄に対する対応
電子商取引の安全な発展の為には、「メッセージが何時発信されたか」、「本当に相手方に受信されたか」等が確認出来る必要が有ることに加え、 文書に基づき取引がなされ、その文書が保存される場合と異なり、 メッセージ内容を容易に改竄出来る為、送信過程及び保存過程で改竄や 変質が起らない様にする必要が有ります。その為、「いつ、誰が、誰に対して、どの様な内容のメッセージを送付したか」を記録・保存する為の「登録機関」が必要ではないかとされ、この点に就いても、各国で各種の検討が行われています。
電子取引の成立時期の問題
電子取引による契約の場合、どの時点で契約が成立したとするかに就いても、議論されています。何故なら、例えば、わが国の現行法制下では、民法526条に、次の様な規定があります。
民法526条[隔地者間の契約の成立時期…]
「1]隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立する。」契約成立には「申込」及び「承諾」の合致が必要ですが、この規定は(対面してする取引では無く)隔地者間の取引の場合、「承諾」の意思表示が相手に到達した時では無く、発信されたときに契約が成立するとしているのです(発信主義)。
ところが、電子商取引の場合、「隔地者」であることは余り意味を持ちませんし、一方、何らかの理由で「承諾の意思表示」が相手に到達しない場合も有り得る為、見直しすべきとする議論が出ています。