1-4. 電子船荷証券の利用方法
Q1-4-2:貿易手続きは長い歴史を通じて紙の書類と署名・押印によって成立してきました。これらを電子化する上で危険は伴わないのでしょうか。
紙の書類と署名押印(欧米ではサイン)の方式は、長い歴史と経験に裏付けされた法律と慣習があります。したがって、紙の書類には法廷での証拠力等についても確実性が高いと言えます。紙の書類を電子化する際には、紙の書類が持っていた法的安定性を保ちつつ、紙の書類が持っていた機能を電子の世界で実現する方策を考える事になります。
現在、電子式船荷証券を対象とする法律は、ほとんどありませんし、そのような国際条約も存在しません。とはいえ、紙の世界であっても、船荷証券に関する条約を摂取した各国の法律は同じではありませんし、船荷証券をめぐる国際ルールも、ヘーグルール、その改訂版であるヘーグ・ヴィスビールール、ハンブルグルールがあり、国毎にそのいずれを批准しているかが異なる状況ですが、船荷証券の流通において関係する業務を行う上でこれが問題となることはほとんどない、といって良いでしょう。
電子式船荷証券を貿易手続きにおいて使用する場合、その方法等についてあらかじめ関係者が理解、同意しておくことが必要です。これは、各国の法律に差異がある場合にも利用される方法であり、当事者の意思が強行法規でない部分に関しては尊重されます。
具体的には、前項で説明した通り、暗号化、電子署名、等の電子商取引一般で利用されている技術と認証機関の利用に加え、登録機関を設立運営し、これに電文ログによる証明力(公証機能)と権利移転管理を行わしめる事により実現することが可能と思われます。
1-4. 電子船荷証券の利用方法
Q1-4-3:では、それらの危険を回避する手段はあるのですか。
具体的には、まず最新の電子技術により物理的セキュリティを高め(暗号化、セキュアな通信経路、電子署名等)、法律や条約が未整備な現段階では契約による当事者間の合意により、電子データに署名のある紙の書類と同等の法的効果を持たせる事が考えられています。