1-4. 電子船荷証券の利用方法
Q1-4-1:電子船荷証券のシステムの設営者・運営者は誰になるのですか。またそのコストは誰が負担するのですか。
一般に、電子船荷証券という概念が存在するわけではないのですが、紙の船荷証券の機能を電子的に実現することを指して使われているようです。
紙の船荷証券が持つさまざまな特性(流通性、運送契約の証書、貨物受け取り証券、貨物を化体、等)は、電子の世界では当然に保有することはできないので、さまざまな工夫を凝らす事になります。
電子商取引全般について該当する危険(情報の漏洩、改竄、成りすまし、しらばくれ)、等)を防止するため、暗号化と電子署名が広く利用されています。電子署名が本人のものである事を確認するには、当事者同志であらかじめ電子署名を交換しておくことも考えられなくはありませんが、相手先が無数に拡大したときは管理不可能になるかもしれません。
このような手間を省くとともに、電子署名を管理する機関が別途存在すれば、そのような機関に電子署名を登録する際に、登録する本人を確認できることになります。このような機関を一般に認証機関と呼び、すでにいくつかの認証機関が商業ベースで運営されています。
貿易取引においては、更に船荷証券の問題が登場してきます。紙の船荷証券であれば、それを所持する人が裏書することにより、転々流通させることが可能ですが、電子の船荷証券の場合、電子的に何部でもコピーを取ることができてしまうので、データの送付があったからといっても、本物とコピーの区別すらなく、また本当に正しい所持人が裏書(権利移転のためにする何らかの意思表示を仮に裏書と呼んでおきます)したのかどうかも不明です。
そこで、両当事者の間に中立的な第三者機関(仮に登録機関と呼んでおきます)が存在すると都合が良いと考えられます。
登録機関を経由して電文を送受信することによって、後日の紛争を未然に防止することが可能となります。すなわち、登録機関は電文の記録(ログ)を取っておくので、何日何時何分に誰から誰へどのような電文が流れたか、証明してもらうことができます。