同法第1条第2項a号の規定を条件として、同法にいう船荷証券には、「受取」船荷証券を含みます(第1条第2項b号)。また、国務大臣は、次の取引行為(transactions)を有効に行うために“telecommunication system”、その他の“information technology”が使用される場合に、本法がこれら適用しうるような規定を法令によって設けることができる。(a)本法が適用される書類の発行、(b)かかる書類の裏書・交付・譲渡、(c)かかる書類に関連するその他の行為(第1条第5項)。
船荷証券の合法的所持人(lawful holder)となった者は、契約当事者として運送契約に基づいて運送人を訴える権利(rights of suit)を有する(第2条第1項)。また、第2条第1項にいう船荷証券の合法的所持人は、契約当事者として運送契約に基づく義務に従わなければならない(第3条)。物品の船積または受取を記載し、かつ船長または運送人により明示的または黙示的に認められた者により署名された船荷証券は、同証券の合法的所持人にとって、物品の船積、または物品の受取に関する確定的証拠となる(第4条)。
米国における船荷証券の概念
米国もコモン・ローの国ですが、米国からの輸出貨物および州際運送貨物には「連邦運送証券法」(Federal Bills of Lading Act, 1916;通称 Pomerene Act)が適用されます。米国で使用されている“Bill of Lading”という用語は、貨物引換証、船荷証券その他の運送書類を含むので、運送証券と訳すのが適切です。コモン・キャリア(common carrier)は、運送のために物品の受け取りに際して、荷送人に対して受領書または運送証券(Bill of Lading)を交付することを義務づけられています。
ヘーグ・ルールに基づく米国の海上物品運送法(Carriage of Goods by Sea Act)は、米国の輸出入貿易における物品運送に係わるすべてのB/Lまたは類似の権原証券に適用することの他に、荷送人の請求によりB/Lを交付しなければならない旨を規定しています。
さらに、米国の国内法であるハーター法(Harter Act of 1893)は、すべてのB/Lまたは海上運送書類に適用される旨を規定しています。このハーター法の規定は、海上物品運送法よりも運送人に対して厳しいものです。例えば、ハーター法第5条は、荷送人の請求に対して、B/Lを発行しないとき、運送人に罰金(2,000米ドルを超えない金額)を科する旨を定めています。