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6]CMI規則による電子式船荷証券メッセージの伝送には、それに抵触しない限り、当事者間の行動規範としてUNCIDが採択され、船荷証券のフォーマットとしてUNレイアウトキーが使用されること、また、UN/EDIFACT標準が適用されること。

CMI規則の電子式船荷証券は、今までに開発されたいくつかのシステムの中で最も進んだ流通性電子式船荷証券に関する開放型システムを意図したものです。それは、加入銀行だけが利用できるSWIFTのような閉鎖的システムと異なり、関係当事者が特定のルールに従って取引を行う旨の多角的なEDI交換協定(いわゆるフレームワーク契約)を締結する場合に適用される自主的ルールの形式をとっている。こうしたシステムは、EDIを使用する取引において最も一般的に利用される契約的アプローチ(contractual approach)と一致する方式です。

CMIの電子式船荷証券の問題点

けれども、書面形式の船荷証券上の記載内容に該当する受取メッセージに示されている権利の受諾と署名に該当する個人キーの取得という権利移転の仕組みをもって、従来の船荷証券の流通性を創り出すことができるか否か、次のような若干の問題が残ります。

1]船荷証券の記載内容は運送人が管理するので、果たして個人キーを含む受取メッセージが譲受人にとって運送品に関する決定的証拠になるかということ、

2]個人キーによって行われる権利移転の際に運送人による現在の所持人の個人キーの破棄と権利の譲受人への新しい個人キーの発給の間における時間的ずれが生じた場合は、従来のような同時的な権利の移転とはならないこと、また

3]個人キーの善意の譲受人に、従来の船荷証券のように、運送人に対する貨物引渡請求権をはじめとする運送契約上の権利が移転されるようになっている場合に、中央登録機関の承認がないまま第三者に個人キーが詐欺的に移転される可能性を排除できないこと。

CMI規則は強行法規ではないので、受取メッセージと個人キーで構成される電子式船荷証券が従来の書面形式の船荷証券と同様の効果をもつという規定(同規則第7条)だけでは、書面形式の船荷証券と同様の法的効力を付与することに問題があり、そのためには関連法の制定が必要になります。

 

 

 

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