4. しかし、情報技術(IT)は文字通り日進月歩の勢いで発達しているので、電子商取引に対する一般企業の期待は、インターネットや電子メールのように、近い将来より一層簡単な手順で、しかも低廉かつ安心して使用できるオープンシステムの開発にあると思われる。米国においても、EDI化率は、大手企業の95%に対して、中小企業ではわずか2%に過ぎないと報告されている。そこで、多数の中小企業が容易に参加できるような電子商取引を実現するためには、技術的側面だけでなく、法的側面からの環境整備が急務と考えられる。例えば、グローバル・レベルの法的枠組みへの取組みとして、UNCITRALの「電子商取引モデル法」および「電子署名モデル法案」、WTOの「グローバルな電子商取引に関する宣言」、OECDの「暗号政策に関するガイドライン」、「情報システム・セキュリティのガイドライン」および「プライバシー保護ガイドライン」、ICCの「デジタル技術で保全された国際電子商取引に係わる総則(GUIDEC)」および「電子貿易・決済統一規則(URETS)」などを挙げることができる。
5. UN/CEFACTの法律問題作業部会(LWG)は、これらの法的枠組みが電子商取引の発展のために必要な信用の構築に貢献することは間違いないけれども、電子商取引を実施するためには、なお電子的に契約を成立させる手順に関連する問題を解決する必要があると考えた。そこで、企業間における信用の構築およびモデルEDI交換協定書 (UN/ECE勧告第26号)の有効な活用に寄与する目的で、LWGは、1999年の作業計画の一つとして、「モデル電子商取引協定書」(Model Electronic Commerce Agreement)を検討し、これを勧告第31号(案)としてUN/CEFACT総会に提出する準備をすすめ、各国に意見を求めた。このモデル協定書では、EDIのほかに、Website、e-mail、その他の電子的通信手段の使用による企業間電子商取引が考えられている。本特別委員会は、この最終案を検討して、これに対するコメントを提出した。
6. 終わりに臨み、本報告書が、EDI導入を検討している貿易関連業界の参考に寄与することを切願するとともに、日常業務に忙殺されているにもかかわらず、EDI制度手続簡易化特別委員会の委員・オブザーバーおよび事務局の関係各位の献身的協力のお陰で本報告書を纏めることができたことを特記し、ここに改めて心らから謝意を表する次第である。
平成12年3月
(財)日本貿易関係手続簡易化協会
EDI制度手続簡易化特別委員会
委員長 朝岡 良平