3 新海上交通システムの試設計
前2.5項のニーズ調査の評価を踏まえ、新海上交通システムの概要について取りまとめを行う。
3.1 航路及び寄港地
3.1.1 九州〜南関東
港湾の貨物集配力から判断し、新システムでの航路を大分〜東京とする。
なお、九州2港対1港の場合では、貨物集配力からは、新門司〜大分〜東京〜新門司、および大分〜細島〜東京〜大分航路の設定が望ましい。また、本調査で設定した各港湾の後背地を考慮すれば、大分〜細島〜東京航路では、輸送する貨物特性(種類)から見た場合、北九州エリアおよび南九州エリアの種類の異なる貨物が集配できる。
3.1.2 九州〜関西
新門司、大分等の九州北部を拠点とした場合、既存の瀬戸内海利用フェリーとの競合になるが、外海経由との距離差約73海里については速力によりカバーできるものの燃料消費の極端な増加等を考えれば敢えて高速による外海航行のメリットは見当たらない。
※比較例(新門司〜神戸)
距離:内海経由244海里、外海経由317海里
航海時間(時刻表より引用)12.5時間
平均速力19.5ノット
外海を12.5時間で航行するために必要な速力は25.4ノット。
港湾の集配力、長距離の高速航行、1隻でのDailyサービスを考慮すれば、志布志〜和歌山とすることが望ましい。
さらに、同航路については、和歌山を中間基点として中京エリア、関東エリアに向けてのトラック輸送、すなわち志布志〜和歌山〜中京・関東エリアの「Sea & Road」設定の可能性も考えられる。
この場合、志布志〜和歌山間でのシフト可能性貨物量は、27,534トン/3日(1日あたり9,178トン)となり、志布志〜和歌山間の14,378トン/3日に対し13,156トン/3日(1日あたり4,385トン)程度の増加が見込まれる。
3.2 各寄港地停泊時間
本検討においては各港湾の停泊時間を2時間として計算したが、現在、シャーシをベースとした荷役能率は130〜150台/時間が一般的であり、それに乗用車、乗客、多種に亘る貨物車等の状況、および機関メンテナンス、船用品補給等を考えれば各寄港地での停泊時間は、3時間を考慮しておく必要がある。