(4) 海外の関連団体の動向
1) 米国の関連団体
米国の関連団体とその動向を以下に示す。
1] AQMD(South Coast Air Quality Management District、米国)
米国カリフォルニア州の中の4つの地域による団体で、この地域には同州の人口の約半分1400万人が住んでいる。この団体のミッションは、この地域の住民に対して健康的な大気環境を提供することであり、以下のような活動を行っている。
・大気汚染を減少させるAir Quality Management Planの作成
・上記で、特に交通機関を対象としたTransportation programの作成
・地域内の30カ所での大気汚染モニタリング
・低公害技術の開発
特に、大気汚染のうちで半分程度の寄与をしている自動車については、直接の法規制は州等が行うにせよ、自動車の総量を規制したり低公害型の燃料や自動車を普及させるプログラムを作成している。
例えば、AQMDの規則2202では、代替燃料自動車、中古自動車の解体、公共交通、自転車等の事業に従事する企業(1600事業所で約120万人)の雇用の必要性を述べている。
また、カリフォルニアハイウェーパトロールや大気汚染の状況をレポートする数千人の市民と連携して、大気汚染の原因となるトラック、バス、自動車の低減プログラムに対する支援を行っている。
この団体の年間予算は約9700万ドルであるが、収入の多くの部分は大気汚染に係わった者からのフィーによっている。特に、1991年以降、自動車1台に対して4ドルの州に対するフィー、1ドルの地域フィーがかけられており、前者の30%と後者の1ドルは州および地域の徴収を通じて、この団体の収入になっている。
2] 交通管理組合(米国)
米国では、交通管理組合(TMAs : Transportations Management Associations)が、1980年代から設立されている。交通管理組合は民間企業が中心となり、デベロッパー、交通事業者、公共団体等多くの主体が連携して自地区の交通問題に取り組んでいる組織である。
米国ではカリフォルニア州を中心に設立が増加し、1990年では12の団体が設立されていたが、現在は数十団体に及ぶとみられる。
交通管理組合の設立の動機は、近年深刻化している郊外交通問題に対処するために、自治体が開発許可条件として、組合の設立を民間企業に指導する場合が多いとされる。デベロッパー、地元地権者、公共団体等は、財政支援や計画の立案といった形で協力を行っている。
自治体は企業に対して交通コーディネーターと呼ばれるスタッフの採用を規定している場合が多い。コーディネーターが交通事業者や地域相乗り会社(相乗りの紹介や斡旋を行う非営利会社)と協力し、計画立案を行う。マーケティングの専門家や交通コンサルタントが参加している場合もある。
交通管理組合の事業内容は、以下のような点から、ピーク時の1人乗りによる自動車通勤者の削減を目的としたものである。