2) 財団に求められる役割と事業
以上の結果から、「エコ交通社会」の実現に向けて財団が果たすべき役割、及び他の機関の環境事業への取り組みから導き出される財団の事業の方向性を合わせると、以下のような財団の役割と事業の方向性が提示される。
基本的には、「エコ交通社会」を実現するような事業を実施していくことがエコモ財団の役割となるが、大きくは次の2つを実現することが財団のミッション(社会的使命)と考えられる。
1] エコ交通社会実現のための新しい価値観の定着(エコ交通の価値観づくり)
運輸・交通に関わる個人や事業者に対して、持続可能な循環・省資源型社会の実現という視点からの新しい価値観の定着を図り、その方向に沿った生活スタイルやビジネススタイルの普及促進を図る。
このような方向に沿った事業として次のような例があげられる。
・生活スタイルやビジネススタイルの見直しなどのソフト施策
・運輸・交通関連の環境影響評価とその手法、指標の検討
・エコドライブ、アイドリングストップ、ノーカーデーなどの支援、波及効果検討
・駐輪場整備支援
・高齢化、環境問題の双方を念頭に置いた運輸・交通ビジョン作りと政策立案
・公共交通の普及シナリオ構築、関連予測、ビジョン作成
・公共交通、自転車、徒歩を促進するための誘導施策、広告宣伝方法等の検討
2] エコ交通社会実現のための新しい社会システム作りの支援(エコ交通のしくみづくり)
運輸・交通分野において、持続可能な循環・省資源型社会実現のための新しい社会システム作りの支援を行う。社会システムの中には、排出量削減を促進する交通システムや、運輸・交通の既存システムを活かしたリサイクルシステム等が含まれる。
このような方向に沿った事業として次のような例があげられる。
・パークアンドバスライドの普及
・静脈物流システムの構築
・低公害車の導入、普及支援
・運輸・交通に関わる環境計測・モニタリング
・環境保全のための情報システム、あるいはデータベースの整備
さらに、上記の2つの使命に基づく事業を推進するにあたり、それらを円滑に実施し、かつ成果を広域的に普及させるための事業環境づくりも必要となろう。
このような環境づくりのための事業として次のような例があげられる。
・海外諸団体とのネットワーク構築
・国際協力の推進
・運輸・交通分野の環境関連に特化した途上国への技術移転
・モデル事業等による地域のつながり強化
・基礎的なデータベース整備や調査