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4-4 本調査の課題と次年度マニュアル整備に向けた構想

 

(1) 本調査の課題

 

この調査では、はがきアンケート調査の範囲において、国内の交通事業者が接遇・介助教育に取り組んでいる、または取り組む意志がある事業者が多いことが明らかになった。すでに接遇・介助教育に取り組んでいる事業者については、教育の実施内容や実施方法に大きなばらつきがある。1990年代に取り組みを開始した事業者が多いことから、優れた事例もある一方で、現在は全般的に発展途上の段階にあると考えられる。こうした状況を踏まえて、本調査における課題を整理すると以下の点が挙げられる。

 

1]交通従事者および当事者の意見の把握

 

交通事業者は概ね接遇・介助教育の実施に前向きな姿勢を示している。こうした状況において、最前線で接遇・介助にあたる交通機関の従事者が、どのような心がまえで高齢者・障害者の接遇・介助にあたっているのか、どのような時に困っているのか、どのような知識や技術を必要としているのか把握することが必要である。また、実際の接遇・介助の対象となる高齢者・障害者等のニーズの把握を考慮する必要がある。

 

2]利用者のトレーニングに関する情報の把握

 

3章で既述したように、欧米ではすでに交通機関を利用する人に対してのトレーニングが実施されている。その理由として、特に障害者が自力で公共交通を利用することで、就労の機会が拡大されること、パラトランジットなどのスペシャル・トランスポート・サービスの利用を減らしコストの低減が見込めることが示されている。今回の調査は利用者のトレーニング(コンシューマー・トレーニングという)を対象としていないが、安全で円滑な公共交通の利用のために、わが国でも利用者を視野に入れたトレーニングの検討を始める必要がある。

 

3]トレーニング実施技術の調査

 

本調査は基礎調査として資料の収集およびヒアリングを中心に実施したため、実際のトレーニングの場面を調査して報告しているものではない。トレーニングの現場から得られる指導技術のノウハウ等を蓄積することは、今後のプログラムの実施において参考になると思われる。

 

4]トレーニング教材の活用

 

北米ですでに取り組まれているセンシティビティ・プログラムは歴史的にも改善を重ねてきたプログラムである。

 

 

 

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