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4-3 実施方法における配慮事項

 

(1) 障害の理解と実体験の重視

 

いくつかの事業者ではすでに取り入れられているが、高齢者や障害者の施設に出向いて実地研修を行う方法が考えられる。実際の介護や介助の現場を体験すると同時に、高齢者・障害者とふれあう機会を設けることで、日常的な接遇の在り方にも良い影響を与えることが考えられる。また、高齢者・障害者に対する先入観、思い込み、誤解等を減らし、障害を理解することにもつながる。こうした活動は一過性のものでは効果がないので、定期的に繰り返し取り組むことが必要である。その点では北米でも一般的であったロールプレイをプログラムに取り入れることが考えられる。当事者がいない場合でも、交通従事者、高齢者、障害者等の立場を交互に繰り返し学習できるので有効な方法と言える。

 

(2) 多様な実施主体の検討

 

接遇・介助教育の実施は、社内の教育担当者による対応や外部の講師を招いて行っていることが多い。今後は外部の専門家や当事者を講師に招くなど、講師の多様化を視野に入れ、欧米に見られるように様々な専門機関や福祉団体等との協力関係を築くことが大切である。日常的な接点を設けて、いつでも意見を交換できる関係を築けば、接遇・介助教育の水準も次第に高まることが考えられる。わが国でもいずれは、NPOや米国のプロジェクト・アクションのような機関の必要性が高まっていると言える。接遇・介助教育の実施または助言を行う協力主体として表4-3-1に示す組織等が考えられる。

 

表4-3-1 多様な実施・協力主体

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(3) 新しいメディアの活用

 

ビデオは教材としてすでにかなり普及している。今後は、独習が可能で、繰り返し再生や記録が容易に行える点でCD-ROM等のメディアの活用が考えられる。こうしたメディアの活用により、一律的に日時や場所を限定しなくても教育を実施することが可能になる。インタラクティブな機能を活用して立体的な学習が可能な教材を提供することは接遇・介助教育の効果を上げることにつながると考えられる。

 

 

 

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