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b. 人権法と交通法による対応

 

カナダでは人権法において障害者であることを理由にした一切の差別を認めていない。したがって交通事業者においても誰もが利用できる整備を行う必要がある。訓練の実施に関する規定は、カナダ交通法(Canada Transportation Act)に「身体障害者の介助を目的とした交通事業者の従業員トレーニグ」として位置づけられている。1994年1月13日に告示された同規則は、すべての交通事業者およびターミナル管理者およびその他交通に関連するサービスを提供している者は、利用者に対応するすべての従業員および契約事業者に、一定水準のトレーニングを実施しなければならないとしている。

 

5]実施コスト

 

今回の調査では交通事業者ごとのセンシティビティ・プログラムの実施コストは明らかになっていない。しかしアメリカに関してはNPO組織等のトレーニングの支援の状況は把握できた。それによると、全国規模のNPO組織では連邦政府からの予算が使われている。プロジェクト・アクションは国家的な位置付けを持つプロジェクトであるため、研究成果は基本的に無料で還元されている。また、マルタのような地域レベルの組織でも、州の法律に基づく予算措置により、教材やワークショップへの参加費はもとより、教材のレンタルのための送料までもが無料である。こうした制度は零細事業者にとっては重要な仕組みである。CTAAなどの組織でも、連邦政府から一部補助を受けているため、プログラムの開催においても低廉な費用で受講できる配慮がなされている。また、州や都市レベルでも、各州ごとの研究機関や大学などの成果が地域ごとに組み立てられたプログラムを通じて、交通事業者に還元されている例がある。

 

 

 

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