プログラムの作成および実施における専門組織等の関連を図3-2-9に示した。
アメリカではNPO等がプログラムを提供したり、トレーニングを主催したり、奨学金制度で支援するなど多様な取り組みが一般化している。特に規模の小さい事業者にとっては、教材が入手できたり、ワークショップが開催されることにより社内の負担が軽減できる利点がある。ワークショップの開催はNPOにより全国各地で実施されており、多くの機会が提供されている。プロジェクト・アクションやマルタのように教材の配布や貸し出しが無料で行われている事例もある。
c. プログラムの評価
プログラムの内容に対する受講者からの評価を実施し、改善に結び付けているのが一般的である。こうした仕組みが、より現場に即したプログラムの開発に役立つと考えらる。
3]作成方法
NPOでは幅広い業務には独自の組織だけでは対応できないため、外部コンサルタントを活用してプログラムを策定するのが一般的である。コンサルタントの他に、地域のリハビリテーションセンターなどを活用して支援を受けたり、大学や研究機関との協力も行われている。また、当然ながら多くの高齢者・障害者の団体、施設などとも協力関係を結んで情報の交流を行っており、交通事業者でもアムトラックのように20以上の団体からの助言を得てプログラムを策定している事例もある。さらに、高齢者・障害者の意見を直接取り入れるために、諮問委員会を設置し当事者に参加してもらい意見を聴取する方法もある。こうした専門家等の資源を活用することにより、より質の高い内容を維持していると考えられる。
4]交通事業におけるトレーニング・プログラムの位置付け
交通事業におけるセンシティビティ・プログラムの位置付けは法律等の公的規制により明確にされている。アメリカおよびカナダの法的なトレーニング・プログラムの位置付けは以下に示す点が重要である。
a. ADAによる運輸省規則による対応
アメリカではADA以後、交通事業者が対応すべき運輸省のADA規則の中に従業員の訓練が位置づけられている。1991年9月に最終的に内容が確定した、運輸省の連邦規制関連法の「障害者に対応した輸送機関に関する規則」(49 Code of Federal RegulationにおけるPart37および38、Transportation for Persons with Disabilities ; Final Rule)において、駅舎、車両の仕様、提供されるサービス、従業員のトレーニングまでの規則が網羅されている。