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ベーシックなドライバー・トレーニングやパラトランジット・トレーニングには奨学金を出し、講習会参加時の旅費などに利用してもらうよう支援している。小規模な法人では運行管理のためのパソコンすら購入できないところもあるので、こうしたわずかな金額の支援も重要である。

 

・ プログラムの評価

 

プログラムの評価方法についてはアンケートによって行っている。2年前に委託してアンケート(トレーニング・サーベイ)を作成し、以来プログラムを開催するごとに実施している。

当事者の意見聴取については、個々人を呼んで話を聞くことはしていない。事業者の意見を聞くことで対応している。公共交通機関には「パブリック諮問委員会」があるので、プライベートの分野でもそうした委員会が必要になると考えている。ただし、事業者単位では、パラトランジットの運営に高齢者・障害者が参加している場合もある。

 

4]マサチューセッツ・リハビリテーション・コミッション

(MRC : Massachusetts Rehabilitation Commission)

 

a. 組織の概要

 

・ 組織の目的

 

MRCはリハビリテーション法に基づいた連邦のプログラムを推進する活動を行っている。障害者が職場に戻り自立生活できるようにすることを目的とした州の部局で、来年で30周年を迎える。

職場に戻るための訓練の一環として、障害者は訓練学校に入るが、その際、移動の必要性が生じる。特に脳に障害を受けた人などを対象に支援生活(Supported Living)から自立生活(Independent Living)への転換の支援を行っている。交通従事者のトレーニングと同様に重要視されている、利用者のトレーニングについて、MRCの活動を通じて述べる。

交通を利用する側の交通機関利用のためのトレーニングは、障害者が就労の機会を得るために、また、低所得層が就労の機会を得て自立するために必要である。就労は通勤を伴うので、自家用車が運転できない、または購入できない場合は公共交通を利用する以外職場に通う方法はない。そこで改めてトランスポーテーションが重要になる。

 

・ 財源

 

基金はおよそ84%が連邦から交付される。州の予算を合わせても職業リハビリテーション部門で年間5,000万ドル程度なので、予算の豊富な部局や団体と連携して活動を進めている。

 

 

 

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