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トレーニングは離職者だけでなく、障害者にとっても重要な意義を持っている。障害者の75%が失業中という状況で、就業のためには自力で移動できることが条件となるため公共交通機関を使用できるように、トレーニングを受ける必要がある。こうした輸送分野が、障害者教育の一つの分野として確立される必要がある。障害者の家族にも1人で通わせるのが不安という意見が多く、その不安解消のためにもプログラムを受講するようすすめている。

高齢者についても同様で、シニアセンターに自分でいけることが望ましい。

また、パラトランジットの使用がかなり多い人には、回数を減らすためのトレーニングが必要である。自宅、会社、学校など、パラトランジットで同じ所だけに通う人に講習を受けてもらい、公共交通への転換を図るということは、パラトランジットの運営コストを低減させる面からも効果的である。この点で上記のプログラムはコミュニティの実状に即して、効率的な交通手段を開発するという、まさにコミュニティ・トランスポーテーションを創り出す基礎となるものである。

 

2]プロジェクト・アクション(ProjectACTION : Accessible Community Transport In Our Nation)

 

a. 組織の概要

 

・ 組織の目的

 

プロジェクト・アクションはイースター・シール協会(Easter Seal Society)のプロジェクトの一つである。同協会は子供から大人までを対象とした、障害者にリハビリテーション・教育を行う非営利団体である。

設立は1988年に議会が「身体障害者のための公共交通の刷新」を明確化し、国家的な研究・実証プロジェクトに資金を拠出する決定を行なったことに始まる。その実施の一部をイースター・シール協会に依頼した。交通とアクセシビリティのバリアを取り除き、全般的な輸送の改善を目的としている。運輸省連邦公共交通局より予算を受けて地域単位で行う実証プロジェクトに取り組んでいる。そのプロジェクト名がプロジェクト・アクションである。ACTIONはAccessible Community Transportation Into Our Nationの頭文字である。3つの主要目的として、

-プログラムの開発(消費者向け、ドライバー向け、トレーナー向け)

-技術支援(アクセスに関する相談、モビリティプログラム-総合版-の普及等)

-情報提供(出版、Web siteによる普及)

を掲げている。また、プロジェクト開始当初の議会決定による優先項目は表3-1-7の通りである。

 

 

 

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