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車両数は33台(うち1台は患者搬送用、1999年7月現在)、社員数は約80名である。同社は通常のタクシー部門(36台)を有するが、社員はまったく別に採用し、一般タクシーからの登用は行っていない。

 

b. 接遇・介助教育の実施状況

 

通常のタクシーに比して何倍もの応募があり、福祉輸送に関心の高い、多様な人が応募してくる状況にある。それゆえドライバーの多くが初心者で入社後1ヶ月をかけて、二種免許、地理試験、介助等の研修を行う。乗務のための通常研修ならば、法定では5日間で済むが介助等を含めるため研修期間が長期化している。

介助教育は在宅ケアを行う関連会社である京浜ライフサービスから講師を派遣し、4日間(12時間)の研修を実施する。系列の京浜ライフサービスでは12年ほど前から入浴サービス、在宅サービスの送迎等を実施しノウハウを蓄積している。ベッドからの移動および4時間の車いす実習が含まれている。現在の修了者は20数名である。身体介護が可能な2級ホームヘルパーを1つの到達点としているが、資格取得には130時間かかるのですぐには進まない状況である。1999年7月時点では、有資格者は7名在籍している。最近、2級ホームヘルパーの養成資格を取得したので、今後は自社養成で対応する方針である。東京患者等搬送事業者協会の現場派遣員(1日研修で取得可)は現在20数名が取得済みである。さらに日赤救急救命士等の資格の取得も進めている。

 

c. 今後の計画および課題

 

車いす研修や資格の取得は、サービスのもっとも大切な要素である安心感の獲得につながる。いずれ、主として運転技術と車いす対応の専用のマニュアルの整備が必要と考えている。

現在は介護保険への対応を検討しており、2級ホームヘルパー資格により身体介護が可能になる事から業務内容の拡大も視野に入れている。具体的には、移送と介護のサービスを合わせてメニュー化し料金設定する検討を行っている。「介護0.5時間を含んだ運行で、○○円」等の設定が可能になる。介助はドライバー1人でできる範囲で対応していく予定である。

関連として、現在わが国で2級ホームヘルパーを確保して、すでに介護タクシーの事業を開始している事業者の状況を示す。以下の図2-2-3はその分布状況であるが、29社が確認できる。特に九州ではいち早く介護タクシー事業に乗り出した福岡県のメディスグループがあるが、こうした動きを受けて同県のタクシー協会も業界を巻き込んだ新たなサービスに乗り出している。具体的には、平成11年4月よりドライバー向けのホームヘルパー資格取得講座を開講し、およそ300名のドライバーが受講を開始している。今後もこうしたサービスは増加すると考えられる。

 

 

 

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