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2-2 接遇・介助教育の実施内容

 

(1) 教育マニュアルの収集とヒアリング調査の概要

 

接遇・介助教育の実施内容を把握するために、アンケート調査に協力を得られた交通事業者を中心に、実際に使用されているマニュアルの提供を求めた。ここで集められたマニュアルの内容を整理することにより、現在、接遇・介助教育で取り上げられている項目およびニーズが高いにも関わらず取り上げられていない項目等が把握できる。また、よい事例を取り上げることにより、次年度のマニュアル作成の際に重点を置くべき内容や編集方法等を把握することができる。なお、各事業者(一部旅行業等を含む)から寄せられたマニュアルの記載項目は資料編に一覧として記載した。

マニュアルの収集とあわせて、主として接遇・介助教育の実施方法を把握する目的で、ヒアリング調査を行った。実際の教育がどのように実施されているのかを把握することは、マニュアルの内容だけではなく、接遇・介助教育の実施方法や評価方法を含めた、総合的な実施プログラムを作成するにあたり重要である。具体的には、委員会において、鉄道、バス、航空、福祉交通等の接遇・介助教育担当者からのヒアリングにより、接遇・介助教育の実施内容、方法等を把握した。

以下の(2)、(3)ではこれらの調査の内容を整理した。

 

(2) 使用されている教材の構成内容

 

1]交通事業者のマニュアル構成内容の概要

 

接遇・介助教育に関するマニュアルについて、一部の交通事業者では現在使用中の教材の提供を受けた。その多くは鉄道事業者であるが、旅行や販売業についても、移動や接遇に関する情報が多く参考になるため収集している。これにより、事業者で扱う項目のおおまかな傾向を把握する事ができる一方で、欠けている項目についても把握する事ができる。巻末の資料1ではそれらのマニュアルについて記載項目を抽出し、表に整理したので参照されたい。この抽出項目に基いて、以下では取り扱い項目の整理を行った。なお、一般の利用者向けに配布されている冊子も入手しているので記載した。

 

2]マニュアルにおける取り扱い項目の整理

 

ここでは各社のマニュアルにおける取り扱い項目を整理した(表2-2-1)。これにより、各マニュアルに共通して見られる項目(頻出かつ必須項目)、あまり見られない項目(事業者から見て需要が低いためか、あまり取り上げられていない項目)に仕分け、次年度以降のマニュアル策定の参考とする。

各マニュアルに共通して見られる項目は、現場での必要性、重要性も高く、認知度も高いと考えられる。また、接遇・介助に必要な情報がどれだけ詳細に書かれているかで水準が判断できる。

あまり見られない項目は、事業者に重要性が認識されていない、情報が少ない、利用者のニーズが顕在化しにくい等の理由が考えられる。今後、必要なものは反映させなければならないので、検討を要する。また、どこにも記載されていないが、例えば旅行医学(旅先での急病に備えた対応法)のような分野など、接遇・介助の内容に関連すると思われる項目についても今後、配慮する必要がある。

 

 

 

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