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表2-2-1 取り扱い項目の整理

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取り扱い項目の最多は車いす・歩行困難者に関するものである。介助法も図説で多くのページを割いて掲載されている事が多い。次に、視覚障害者への対応、聴覚・言語障害への対応の順である。

また、総論的な話として、人格の尊重やコミュニケーションの大切さ、相手のニーズを確認してから行動する事が明示されているマニュアルも多い。

一方で、精神障害、知的障害、今後増加するであろう痴呆症などの対応は少ない。また、高齢者を単独に扱っている事例も少ない。高齢者は重複障害を持っていたり、移動制約がある場合が多く、十分な配慮が必要である。精神障害、知的障害については、JR東海、日本旅行業協会、全国福祉輸送サービス協会/宮園自動車の3点で取り上げられている。痴呆については全国福祉輸送サービス協会/宮園自動車で言及している。また、外見上わからないことが一因とも考えられるが、内部障害について言及しているのは、日本旅行業協会のみである。

厚生省の「障害者実態調査」(平成8年)によれば、障害の種類別に見た身体障害者数は、その割合において肢体不自由56.5%、視覚障害10.4%、聴覚・言語障害11.9%、内部障害21.2%という構成比になっている。こうしたデータから、車いすの取り扱いが最頻出項目として取り上げられるのは妥当といえる。しかしながら、内部障害については、外部からわからないことが多いという状況があるにしても、妊産婦などと併せてマニュアルでの記述の必要性が高いと言える。

 

3]特徴のあるマニュアルの事例

 

ここでは実際に使用されているマニュアルの中でも、掲載項目やわかりやすさという点で工夫がなされているものを取り上げた。

マニュアルの重要な点は、第一にわかりやすいことである。使う人が理解しやすく、見やすく、何をしたらよいのかが整理されていることが重要である。そうした点で、見やすい文字、色使い、イラスト等の役割が大きいといえる。内容では、業務に必要とされる項目が網羅されていることが重要である。接遇・介助教育では、特に高齢者・障害者の特性の理解、ニーズの把握、それぞれのニーズへの適切な対応方法、そして何よりも接遇・介助時の相手に対する心がまえについて触れている必要がある。ここでは、上記条件を備えた1つの例としてJR東海が策定したマニュアルを示した。

 

 

 

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