そこで2つのテスト規準を設ける必要がある。国際標準はユーザーがある距離から何かを目で確認すること(視認性)と同時に「何が描かれているか」図形のもつ意味(通事性)が認知されることにある。
図記号としての国際標準が公共の場で第一に必要なものは一般案内用図記号である。
つぎに、各種の装置用図記号や、取り扱い説明書、地図などである。
1. ISO/TR7239について
これまでのTR7239には、図材デザインのフォルムやイメージ要素の表現方法などについての詳細な規準はない。デザイナーにとっては如何なる制約もなかった。国際標準はデザインガイドラインを主として構成され、それに付属書が加えられることになっているが付属書のA、B、C等が欠落している。
2. 新しい名称
TR7239は「一般案内用図記号の制作と適用原則」であるが、これを改めて「一般案内用図記号の図材イメージの認知性の評価手続き」としたい。
3. 2種のテスト手続き
一般案内用図記号のデザインには最低2種類の基準を持たせる。その第一の規準は、図記号の対象は図材イメージの描写とその処理による。図記号の対象を選択する際、全ての図材イメージの背景の中からよい名称が予想されない場合は、正しい通事性を持つ見込みはない。
第2の規準は、図記号の最終的デザインが通常の状況下で認知されるためには、そのサイズと明るさによる。つまり、その表示面処理と視認距離に負うところが大きい。図材イメージが正しい場合のみ図記号として対象の名称が明確となる。
4. 図材イメージに対する通事性テスト
このテストの目的はユーザーの数や質にも係わるが、図材イメージあるいは図材イメージ要素とその処理方法に係わる。図材の対象がユーザーにとって未知なものならば、その図記号の正しい認知はできない。表示内容の制作に関して、正しい図材イメージ要素についてはデザイナーに頼るが、その描写で重要な点は、ユーザーとの通事性にマッチすることである。
表示内容の制作依頼について、テストに際して回答者は対象名、抽象化された要素そして図記号イメージの描写とその配置(おさまり方)を見る。一方、判定者にとっては理解度テストと同様の問題が生じる。答えが正しいか、間違っているか、またはそのどちらでもないというように。もしその名称が単一か複合の対象の場合は多くの問題はないと思われる。「馬」を描写したものを回答者が「犬」と答えた場合は間違いで、これは悪いカテゴリーを選んだためである。他方、「馬」「猫」「牛」を描写したものについて「馬」と答えても問題はない。表示事項の分析で、三種の動物は「家畜」という意味を喚起させるからである。この場合判定者は「おおむね正解」とすべきである。同様に、描写が難しい事物の場合は図材イメージは単なる原型を用いる。森林の代わりに「一本の樹」を用いる場合、デザイナーは特定の樹を決める必要がある。例えば「もみの樹」というように。表現内容分析の際には「樹」も「もみの樹」も正解である。しかし「かしの樹」では間違いとするかどうか?パイロットテストにおける指導では、様々な種類の図記号があることから困難が予想されるため図記号一組のセットには注意を要する。
テスト手続きにおいて、回答者グループは一つの候補デザインより多くのテストをする必要がある。パイロットテスト後に判定のためのスコアを決定するが、100%正解を原則とすべきである。
5. 視認性テスト
このテストの目的は図記号の対象、抽象的要素、そして配置が明確になるよう図材イメージのデザインを確立することである。