様々な研究や実施事例から、鉄道におけるアクセシビリティ対策に関する計画者・設計者のためのガイドラインとして、基盤施設と利用者サービスの改良の項目を表3-3-5に示した。
(3) 都市内バス
1]概況
カナダでは、都市内の輸送サービスに対する責任は州や地方自治体に委ねられている。主要な公共交通手段であるバスをはじめとする通常の輸送サービスの大部分は、交通事業者との契約によって運行されている。通常は自治体に交通の管理部門を置いて、サービスを提供する事業者との契約や運行管理を行う。
カナダの州では、自治体ごとに州の規則等をベースに交通政策を決定している。より小規模なコミュニティでは、地区評議会あるいは地区委員会と呼ばれる組織が交通に関するローカルな決断を行っている。なお、ブリティッシュ・コロンビア州は、州の交通事業体による例外的な対応をしている(3-4参照)。
アクセシブルなサービスについては、地域の高齢者・障害者コミュニティ、消費者団体等からの意見の聴取や、利用者が参加した諮問委員会などによりニーズを把握しているのが一般的である。
2]アクセシブルな路線バス
a. バスのアクセシビリティを決定する要素
ほとんどの州の交通システムでは、既存のバス車両の買い替えに際して、アクセシブルな低床バスを導入している。これにより主要な車両メーカーが、生産の主軸を低床車両に転換している。さらに、固定路線がアクセシブル化することにより、カスタムトランジット(高齢者・障害者専用のドア・ツー・ドア)の需要拡大の抑制につながっている。
前述のように都市内交通は自治体ごとの管轄のため、アクセシビリティ対策にも異なる部分があるが、都市内バスのアクセシビリティを決定する基本要素は、表3-3-6のように考えられる。