第3分科会
保育所の食教育の実践
司会者 藤幾久子(大阪市・かぐはし保育園長)
提案者 野上淑子(堺市立ちぬが丘保育所栄養士)
助言者 山上佳代子(大阪小児科医会理事)
提案要旨
保育所の食教育の実践…3つの視点から
野上淑子(堺市立ちぬが丘保育所栄養士)
私たち日本人の食環境は、外食産業等の発達で、欲しい物がいつでもどこでも簡単に入手できるようになり、食べたい(飲みたい)時にすぐ食べられるようになりました。また、昔は当たり前だった家族そろっての夕食も、女性の社会進出・仕事・付き合い・遠距離通勤等でだんだん減ってきて、子どもの食事は、子どもの好きなメニューを選びがちになり、野菜メニューが減ってきています。それと共に、家庭で調理して食べる料理の文化がどんどんうすれつつあり、子どもたちが身近に食べ物に触れ、調理過程を知り、匂いを嗅いで期待を持って待つといった経験や、子ども達の手伝いなど家庭で食に関わる親子のふれあいの機会も減ってきています。そして、嗜好にまかせた食生活や、欠食が、食事内容をせばめ、栄養のバランス・栄養素の過剰摂取をもたらし、健康面で貧血や肥満児の増加・成人病の低年齢化を招き、生活習慣病予防が乳幼児からの課題になってきています。
一方保護者は、長時間労働・変則勤務や、不安定な労働形態・リストラの不安・失業など雇用や生活の不安など厳しい状況があり、十分子どもに関わってあげられない姿や、子どもを安定して育てにくい状況もあります。また、家事など生活経験の乏しいまま結婚し、労働と家事だけでもなかなか大変な若い夫婦のところに、赤ちゃんが生まれ育児が始まる・・・・親になったとは言え、どう育ててよいか、どう接すればよいか、育児不安もいっぱいです。しかし、地域社会のつながりがうすれ、身近に助けを求めにくい状況があります。最近は、育児放棄(ネグレクト)を含めて児童虐待が大きな社会問題にもなってきています。
様々なニーズ・課題のある中で、保育所は、保護者が安心して働ける(子どもを預かる)場としての役割に終わらず、保護者と共に子育てを担っていく中で、需要に応じた新しい制度の構築(例えば延長保育⇒夕食の保障など)と共に、家庭の子育て機能を高める役割(親育て)も必要とされているという認識をもって取り組みました。それらの実践を3つの視点から報告をします。