2) ウイルス性肝炎
1]肝炎を起こすウイルスは、A〜E肝炎ウイルスの他、サイトメガロウイルスやEBウイルスなどいろいろ知られているが、小児集団で配慮を要するのは、経口感染するA型肝炎である。原因食品として牡蠣などが問題。集団の場では手洗いなどの一般的注意でよい。A型肝炎ワクチンは流行地への旅行者などを対象。潜伏期間は4〜7週。
2]A型肝炎は発病初期を過ぎれば感染力は急速に消失するが、肝機能が正常化するまでは安静と治療が必要。B、C型肝炎では、無症状の病原体保有者(キャリア)が発見されることがあるが、血液そのものを介さない限り水平感染は考えられず、登園可能。
3) 手足口病
1]病原体は主としてコクサキーウイルスA16型とエンテロウイルス71型で、主に飛沫感染である。流行は夏に多い。発熱、口腔・咽頭に痛みを伴う水疱・潰瘍、手、足末端や臀部の発疹、水疱(水痘と違って破れたり、痂皮になることなく消失する)を生じるのが特徴の夏かぜであるが、最近、脳症を合併する重症例の報告がある。潜伏期間は2〜7日。一般的な予防の心がけしかない。
2]発熱や口腔の水疱・潰瘍のある間は飛沫感染をする。糞便中には2〜4週間ウイルスの排泄はあるが、解熱して元気になれば、周囲への感染力は弱くなるので登園は可能。まれな重症例は有熱中に高熱と脳症状を発してくるので、医師による医療を受けていれば診断できる。保育所でおむつの世話をしている場合には、回復期の乳幼児のおむつと保育者の手の消毒が必要。子どもたちの手洗いも励行させる。
4) 伝染性紅斑(りんご病)
1]ヒトパルボウイルスB19による、飛沫感染。かぜ症状と引き続きみられる頬の紅斑、手足伸側に破れたレース状の紅斑が特徴。紅斑は再発することもある。溶血性貧血や紫斑病などを合併することもあるが、一般には軽症の疾患。妊婦の罹患により胎児死亡(胎児の高度貧血による水腫)が起こることがある。潜伏期間は17〜18日、ウイルスの排泄期間は発疹が出現する前なので、発病に気付いたときは感染力はない。
2]発疹が出て診断がついたときは、すでに感染力はないので、登園停止の必要はない。