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7) 咽頭結膜熱(プール熱)

1]アデノウイルス(主に3型)が病原で、飛沫感染の他、眼の結膜からの感染もするため、プールを介しての流行が起こりやすい。発熱、咽頭炎、結膜炎を主症状とする。アデノウイルスは腸管でも増殖するので、糞便中にも排泄されるが、周囲に感染しやすいのは飛沫感染である。予防には、手洗い、うがい、水泳前後のシャワーの励行なども必要。ワクチンはない。プールを一時的に中止する必要のあることもある。

2]主要症状が消退した後2日を経過するまでは出席停止。

 

8) 結核

1]結核菌による全身性感染症だが、肺に病変を起こすので飛沫感染が主。乳幼児では家族内感染が多いが、園内感染も起こりうるので、教職員の健康管理も重要。大部分が初期感染結核であるが、病状は一様でなく、時には髄膜炎などの重症症状で気づかれることもある。厚生省が結核緊急事態宣言を出したように、結核は決して過去の疾患ではない。予防にはBCGが有効(とくに乳幼児の髄膜炎などの重症結核の予防に有効)。感染を受けた可能性の高いときの発病予防には、抗結核剤の内服も行う。

2]病状により伝染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。

 

第3種の伝染病

 

1) 腸管出血性大腸菌感染症

1]ベロ毒素を出す病原大腸菌による経口感染症。感染を受けても無症状から、軽症で終わる者、激しい腹痛と下痢に血便を伴う出血性大腸炎を呈する者まである。さらに溶血性尿毒症症候群(HUS)、脳症などを発症すると(約6〜7%)死亡に至ることがある。発症しやすく、重症化しやすいのは、小児と高齢者(患者の約80%は15歳以下)。潜伏期間は4〜8日。予防方法は、手洗いの励行、消毒(トイレ等)、食品の加熱及びよく洗うことの三点である。

2]症状の出た患者の場合は、医師によって伝染のおそれがないと認められるまで出席停止とするが、無症状保菌者の場合には出席停止の必要はない。ただし無症状保菌者の場合を含め、保育所ではおむつと保育者の手の消毒、子どもの手洗いの励行は重要。

 

 

 

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