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従って通常は学校伝染病に指定する必要はないと考えられる。ただし症状の重いケースや欠席者も多く、子どもや家庭での不安感が強いなどの事情があれば、学校長(園長)が学校医(園医)と相談して、学校伝染病扱いをすればよい。

臨時休業は、出席停止と同じく伝染病予防上の措置であるが、臨時に学校の全部または一部の授業を行わないことにする(いわゆる学校閉鎖や学年・学級閉鎖)ものであって、伝染病の流行を防止するためのより強力な措置である。これらの措置の趣旨・意義等を十分踏まえた対応が望まれる。また、いずれの措置を講じる場合にも保健所と連絡をすることとなっている。どのような場合に臨時休業を行うべきかについては状況によってさまざまであるので一律には定められていないが、一般的には欠席率が通常時よりも急速に高くなったとき、または罹患者が急激に多くなったときは、その状況を考慮し、さらにその地域における伝染病の流行状況を考慮の上時期を失することなく行うことが必要である。また、隣接する施設で扱いが異なると混乱するので、都道府県などの地域ごとに医師会と教育委員会が相談して方針を決めておくことが望ましい。

 

3. 小児期に多い感染症

 

小児期の主な伝染性感染症は、学校伝染病に指定されているので、第2種と第3種の疾患と、第3種のうちのその他の伝染病の例を、出席停止期間との関連で略述する。

 

第2種の伝染病

 

1) インフルエンザ

1]疾患の特徴(病原体、感染経路、潜伏期間、予防法等、以下の疾患についても同じ)

インフルエンザウイルス(A、B、C型)の飛沫感染。主に冬季(12月〜3月)に流行する。急な発熱、頭痛、咽頭痛、全身倦怠感などの他、嘔吐、下痢等の消化器症状を呈することも多い。肺炎、脳炎等の合併で死亡に至るおそれがある。小児では脳炎・脳症が問題で、3歳以下に多い。潜伏期間は、1〜2日と短い。予防接種は有効で、重症化を防ぐ効果はあるが、流行阻止の効果は期待できない。ハイリスク者(高齢者や基礎疾患ある者など)への接種が勧められる。香港での新型ウイルス(H5)は一応終焉。

2]登校・登園基準

解熱してから2日を経過し、全身状態も良好であれば出席できる。肺炎、脳炎等の合併は有熱期間中に高熱になり、呼吸困難や意識障害などの症状を発してくる。

 

 

 

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