2. ノーマライゼーション(Normalization)の諸定義
1]バンク・ミケルセン「ノーマライゼーションの父」(デンマーク)
ノーマライゼーション理念:ミケルセンによってデンマークで誕生、1959年法に「ノーマライゼーションは、ハンディキャップをもつ人を『ノーマルな人』にすることを意味しているのではありません。その人たちをまるごと受け入れて、ノーマルな生活条件を提供することです。」(1989;大熊由紀子氏との対談より)
2]ニーリエ(スウェーデン)(「ノーマライゼーションの8つの原則」)
「ノーマライゼーションとは、全ての精神遅滞者の日常生活の様式や条件を社会の普通の環境や生活方法にできるだけ近づけることである。……1日(1週間、1年)のノーマルなリズム、ライフサイクルでのノーマルな体験、ノーマルな要求の尊重、異性との生活、ノーマルな経済的水準、ノーマルな環境水準などを実現するものである」
3]国連「障害者の権利宣言(第3条)」(1975.12.9)
「障害者は、人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有している。障害者は障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同様な基本的権利を持ち、このことは、まず第一に、できる限り普通の、また十分に満たされた、相応の生活を送ることができる権利を有することである。」
3. ノーマライゼーション理念の進展
ポイント:1.対象者の拡大、2.専用思想の克服、3.価値観の多様化
1]新東京都行動計画の基本的考え方と施策の基本的方向について(1991)
1. ノーマライゼーションの推進 2. リハビリテーションの重視 3. 自立への支援 4. 専用思想の克服
「……これまでの障害者対策は、障害者への特別な配慮から専用のエレベーター等の設備や、スポーツ等の利用施設の専用化が図られてきた。しかし、このことは利用に当たって、障害者とそうでない者とを分離させることになり、相互の理解と交流を阻害しがちとなる。……」
5. 当事者(障害者)参加の機会の提供
従来の理念:「障害をもつ人ともたない人がともに生きる」社会の実現
新理念「障害をもつ人」と「もたない人」といった対立しがちな概念でとらえるのではなく、すべての人が平等に社会を構成し、一人ひとりが社会にとってかけがえのない存在であるという発想に基づいた障害者観に立脚しなくてほならない。」
2]目黒区障害者行動計画(第二次)の基本的考え方および重点課題
1. 地域を基盤とした自立生活への援助 2. 障害者の主体性・自立性の確保
3. 障害者の範囲の拡大 4. 障害者専用思想の克服と福祉のまちづくりの促進
5. 福祉文化の創造
(「……新しい福祉文化を創造していくためには、これまでの経済効率のみを追及する考え方から、人間性の尊重を基本とした考え方に改めていくことが必要である。そのような新しい生活観・人間観を形成するには、障害者自身が豊かに生きている姿を幼少時から見聞きし、相互の交流、理解を促進するための福祉教育を推進していくことが必要」)